浦和FW高原直泰(30)の来シーズンの去就が、宙に浮いた状態であることが22日、分かった。今月中旬までに浦和の幹部が高原側と会談。世代交代を継続する来季は事実上、主戦力として構想外であることを直接伝えた。11年1月末まで契約を残している高原に移籍を促した格好だが、高原側は、浦和側から明確に「戦力外」と言われていないと主張。違約金などの問題もあり、両者の認識がずれたまま、こう着状態に陥った。

 年の瀬になっても、高原の去就が明確に定まらない。若返りを図る浦和側は11月初旬、高原を来季の主力構想から外す方針を固めていた。契約期間中だが、実績のある高原の境遇と推定1億6000万円のJ最高年俸選手を控えに置く経営面のリスクを考慮し、年内に来季の構想を通達することに決定。先月下旬にはフィンケ監督が高原の代理人と、先週中には橋本社長が高原の所属事務所の妙摩社長とそれぞれ会談した。

 浦和サイドは、今季トップに昇格して主力に成長した原口や山田直、広島から加入が決まった柏木や水戸に期限付き移籍中のFW高崎の復帰など、若手を軸とした戦力構想で臨む方針を説明。今季出場した32試合(4得点)のうち、先発が16試合にとどまった高原側に厳しい現状を伝えることで、移籍も視野に入れた去就の判断を促したようだ。

 今年以上に出場機会が激減するのであれば、来年のW杯出場をあきらめていない高原にとっては痛手だ。だが、妙摩社長は、浦和との会談を認めたうえで「クラブ側は、移籍を勧める気持ちで言ったかもしれないが、言葉として、はっきり言われていない」と明かした。シーズン終了から1週間以上も経過し、トライアウトも終わっており、同社長は「この時期に言うのはおかしい。高原本人も来季に向けて始動するという状況です」と話した。

 浦和は強化責任者の信藤チームダイレクターが病気療養中で、エジミウソンとの契約延長交渉や柏木の獲得決定に時間がかかったため、高原側に早い時期に去就を判断する材料を提供できなかった。さらに、クラブ側から積極的に高原の移籍に動けば、多額の違約金が発生することも考えられるだけに、慎重にならざるを得ない事情もある。橋本社長は、高原側との会談について明言せず「契約期間である以上、戦力として頑張ってもらうしかない」と話すにとどめた。残留か、移籍か。高原の去就はますます不透明になってきた。