今季限りで磐田を退団する元日本代表FW中山雅史(42)が、来季J2札幌でプレーすることを決断した。23日に磐田と札幌の両クラブが発表。中山も同日、札幌入りをし、クラブハウスを訪れ関係者にあいさつした。熊本など複数のクラブから獲得オファーを受けたが、環境面で充実した札幌を選んだ。24日に同市内で入団会見を行う。16年間磐田で日本サッカー界をけん引したゴン中山が、来季は北の大地を熱くする。

 午後4時30分すぎ、ゴン中山が札幌の地に降り立った。ニット帽をかぶり、マスクをつけた中山は「飛行機から外を見たら一面雪だったからビックリした。マスク?

 変装じゃないよ。風邪をひかないためだよ」と、早速寒さ対策を万全にし、第2のサッカー人生の舞台へと足を踏み入れた。到着後すぐに、札幌市内のクラブハウスへ移動。施設を見学し、クラブ関係者にあいさつをした。

 決断に至った理由については「詳しい話は明日会見で話す」と明言は避けたが、やはり充実した環境面にあった。11月9日に磐田から戦力外を通告されてからJ2熊本など、複数クラブからオファーが殺到。しかし、来季で43歳を迎える中山は「医療面での不安は正直ある」と話すなど、J1レベルの医療体制が整った環境を望んでいた。J1を経験している札幌には、専用練習場やクラブハウスがあり、医療スタッフも充実。自ら「痛くないところを探す方が難しい」と話す体のケアを最優先に考え、札幌を最有力候補として話を進めてきた結果の決断だった。

 札幌は全国区の知名度を誇る中山の営業面での効果よりも、中山を戦力として評価。16年間J1でプレーした経験と、その間157得点も決めている得点力に期待し、試合での起用を第一に考えている。42歳という年齢を考慮し「スーパーサブ」として起用することを本人側に明言していた。また、高いプロ意識は若手選手にとって生きた教材になる。本気でJ1昇格を目指すクラブとして、どこよりも早くオファーを出し熱意を伝えていた。

 磐田一筋できた男が24日会見に臨む。プロ17年目にして初めての移籍だ。退団決定後「自分に『現役を続けるんだろう?』って言う自分がいる。そいつが『やめた方がいい』って言う自分を否定している。情熱はまだまだ衰えない」と、現役続行への意欲を強く語っていた。この日、到着直後の新千歳空港付近の気温は、氷点下2・9度。「寒い?

 そりゃ寒いよ。今日の静岡は12度だったからね。ずいぶんと遠いところにきたものだ」と、慣れ親しんだ静岡に比べ15度近くもある気温差を、中山は肌で感じた。次なる舞台は北の大地。ゴン中山が熱くするだけだ。【栗田成芳】