堂々の宣言だ。J1清水にフランスリーグ・グルノーブルから加入したFW伊藤翔(21)が13日、静岡市内のホテルで行われた新加入会見に出席し、「清水から4年後のW杯ブラジル大会に出場したい」と具体的な目標を掲げた。中京大中京高卒業後、Jクラブを経由せず海を渡ったストライカーの出場試合数は少ない。それでも、未知数だからこそ楽しみの多くなる、数々の発言だった。

 21歳にはすでに風格が漂っていた。会見場に登場した伊藤は、自分にマイクが向けられると「エスパルスで試合に出て、活躍して、ここからA代表に入れるように頑張りたい」と、明確な目標を口にした。さらに「ここ(清水)でしっかりやって、次のブラジルW杯に(日本代表のメンバーとして)名を連ねられるように、やっていきたい」と、早くも4年後に照準を合わせた。

 いきなりの「日本代表宣言」は、単なるビッグマウスではない。グルノーブルでの3年半の在籍期間で、リーグ戦の出場は5試合のみだった。しかし、異国の地でプロ生活を送り「とにかくメンタルがすごい。チームの中の1人という感じじゃなくて、個として強い1人が集まってチームになっている。自分を出していかないと、認めてもらえない」。高校卒業後、18歳で欧州クラブのハイレベルな競争を体感してきたからこその発言だった。

 会見に同席した早川社長も「ここまではっきりしたメッセージをこの場で言えるのは、日本人じゃないね。この獲得は1人のFWとして以上の想像を超えたものになる」と、海外育ちのストライカーに大きな期待を寄せた。伊藤は「ラテンの文化でやっていたからルーズになってる。日本のきめ細かい生活についていけるか心配です」と、頭をかくと、途中で「質問はなんでしたっけ?」と、さっそくラテン節?

 をさく裂させる一幕もあった。

 チームには14日から合流する。「最初の走りは、ちょっと緊張した感じを出しながらも和やかに走れたらいいなと思います」。緊張などみじんも感じさせない発言は、記録には残らないキャリアを積み上げてきた自信の表れか。未知の大器が清水でベールを脱ぐ。【為田聡史】