海の向こうではW杯南アフリカ大会で予想した8試合の結果をすべて的中させた「予言ダコ」パウル君が大人気だが、日本では史上初のタコの金細工が14日、都内に登場する。サッカー日本代表がW杯優勝チームになったら「純金ボール」をプレゼントすると豪語していた純金製品加工会社が販売する。実は内閣総理大臣賞を受賞した金工芸家がテレビでパウル君を見てつくったって、ホント?

 今度は金のタコが登場する。重さ7グラム、全長6・5センチ。18金のつまようじだ。歯の間を「シー、ハー」するとがった部分とは逆側にマダコが8本の足をからみつかせている。足の先がニョロンと伸びて、まるであの「予言ダコ」ことパウル君のようだ。

 担当者は「そりゃ、そうですよ。だって、金工芸家がW杯を見ていて、面白いタコがいるなぁ~、と思ってつくったそうですから」と説明した。そう、まさにモデルはパウル君。そう思って目を凝らして見てみると、アサリの入ったアクリルボックスを器用に開こうとするパウル君に見えてくる。

 この金タコ、14日から東京・日本橋三越の7階催事場で初公開される。W杯期間中に「日本代表が優勝したら純金のサッカーボールを一番活躍した選手に進呈する」と宣言した純金製品加工の国内最大手「信州ゴールデンキャッスル」(本社・長野県松本市)が製造した。土屋豊社長(59)は「私も金でいろいろなものをつくってきたけど、タコをモデルにしたものは初めて見た。しかも世界でタコが注目されているこのタイミングなんて、私だってビックリだよ」と驚きを隠さない。

 つくったのは金工芸の名門「石川工房」3代目で内閣総理大臣賞受賞者の石川光一さん(60)。石川さんは、マダコをモデルにして何かをつくりたいと思っていたという。タコは英語で「オクトパス」。これを「置くとパス」で、家の中に飾っておくと試験などに合格する縁起ものとして考えていた。今回はつまようじのシリーズをつくる企画が浮上し、創作イメージを膨らませるためにW杯をテレビ観戦する中でパウル君の存在を知り、「これはいける」と足を器用にからみつかせるタコをデザインしたという。

 純金ボールは3255万円で販売されていたが、このつまようじなら10万6050円とお手ごろ?

 この金タコで食後に歯をきれいに掃除すれば、運も開けてくるかも…。【寺沢卓】