<J1:山形1-0新潟>◇第18節◇13日◇NDスタ

 山形が、Jリーグのホーム通算243戦目にして「ホーム100勝」を達成した。1分け2敗(J1)と苦手の新潟を破り、2試合連続で完封勝ちを収めた。FW北村知隆(28)が前半35分、J1では自身初となる2試合連続ゴールで先制。「粘り強く頑張った」という言葉通り、1点を守り切った。リーグ後半戦の最初のゲームを飾り、暫定10位に浮上した。

 99年のJ2参入から足かけ12年。本拠地でのリーグ通算100勝目を、北村が呼び込んだ。前半35分、DF前田の自陣からのFKを、FW長谷川が頭で相手DFの背後へ。相手GKより一瞬早く、ボールを目がけてダッシュした北村が、目いっぱい伸ばした右足で先制点。「疲れはあるけど、頑張りますよ」と話していた男が、自身J1初の2戦連発で、有言実行した。

 W杯が終わりリーグ再開から、北村はスパイクに工夫を加えた。これまでは市販の、歯が固定されたスパイクを履いていた。だが一瞬のスピードを武器にする北村は「芝をかむ感触を高めるため」に、足のサイドと、かかとの一部を削り落とし、ネジを埋め込み着脱可能の独自ピンをセット。「芝が悪いホームでは、ほとんど履いている」という武器が、試合途中で雨が降った悪条件で、北村の速さを引き出した。

 雷雨などで満足に調整できなかった。不足分を補うため、小林監督も「戦術ボード」を2年ぶりに使用した。15年ほど前に作られたパソコン用ソフトで、攻守の鍵を握る場面を画面上でイレブンを動かして理解させた。「山形に来て最初に使って、その後は使ってない」という、インベーダーゲームのようなぎこちない動きでインプットしたプランを、選手が実践して見せた。

 リーグ11戦無敗と好調だった新潟を“アナログ”の力で飲み込んだ。いくら戦術が良くても、選手1人でも気を抜けばやられる山形。だが、J1で新潟から初勝利-、を胸に秘めたイレブンは、顔面ブロックまでして1点を守り切った。山形の夏は、まだまだ終わらない。【山崎安昭】