<J1:神戸4-0浦和>◇最終節◇4日◇埼スタ

 降格危機にいた神戸が、奇跡の残留を果たした。敵地浦和で4-0の大勝。勝ち点1差で追う東京が0-2で敗れてJ2降格し、神戸は大逆転で15位になった。和田昌裕監督(45)の優しい人柄で団結し、J1に生き残った。

 我慢しても、我慢しても、涙が止まらない。まだ選手が戦っているんだ-。そう自分に言い聞かせても、和田監督の目から、とめどなく涙があふれ出てきた。後半ロスタイムに18歳の小川がダメ押しの4点目を挙げる。DF宮本から「東京が負けています」と耳打ちされると、もう感情を抑えることができなくなった。大逆転の残留を完結し、大粒の涙が緑の芝生に落ちた。

 和田監督

 とにかく奇跡というか、本当に残留ができたという実感がいまだに湧かない。選手たちはスゴい。ただそう思うだけです。本当に諦めず、選手を信じてきて良かった。これは本当に奇跡なのか。

 崖っぷちから生まれた団結心が、最後に実を結んだ。三浦前監督の解任を受け、9月18日広島戦から2年連続でシーズン途中から就任。選手との対話を重視し、時にはとことんまで酒も付き合った。監督の概念を覆すほど、良き兄貴分であり、良き相談相手になった。監督の求心力が落ち崩壊状態だったチームが、いつの日からか「和田さんのために-」を合言葉にするようになった。終盤7戦は4勝3分け。エース大久保が左足肉離れで今季絶望になりながら、無名の選手が指揮官のために踏ん張った。

 奇跡かそれとも必然の帰結か。FW大久保主将は16強入りしたW杯南アフリカ大会から帰国後、選手に結束力の大事さを説いた。この日、神戸から駆け付けたエースは「1つになりきれないチームが最後に団結した。W杯の日本と一緒。あきらめない気持ちが大事なんよ。和田さんのためにも良かった」。2得点を決めた33歳の苦労人吉田も「和田さんを何とかしたい。男にしたかった」と心から言った。

 「和田さん」と書いて「いい人」と読む。運や奇跡だけではない。指揮官の人柄が、窮地の神戸を強くした。劇的にJ1に残った神戸の中心で、和田監督が泣きながら優しい笑みを浮かべた。【益子浩一】