2000年のJ1昇格以来初めてJ2に降格した東京が5日、指揮官の来季続投交渉からつまずいた。村林裕社長(57)はこの日、東京・小平市のクラブハウスで大熊清監督(46)に来季続投を要請。大熊監督は「しっかり考えたい」と態度を保留した。J2降格により、来季の大幅減収は必至。主力選手の大量放出が懸念され、より求心力が必要とされるクラブにおいて、監督人事から後手を踏むことになった。

 「1年でJ1昇格」を掲げるクラブが、いきなり後手を踏んだ。村林社長は「大熊と話をして、来季継続の要請をした。本人からは少し時間をほしいという返事だった」と明かした。大熊監督は「昨日の今日なので。受けるときには、きちっと気持ちを決めてから受けたい」と話した。大熊監督は就任後、4勝4敗3分け。大命題となるJ1残留は逃した。今季いっぱいで退任という選択肢もあり得た。だが、「1点の重み、1勝の重みにこだわる」という同監督の姿勢と、選手を含め、クラブをよく知っているという理由で続投要請。大熊監督は「近日中に決めたい」と話したが、態度を保留した。

 今季のクラブ総収入33億円に対し、村林社長は「来季は30億は切る」と明言し、選手編成で苦戦を強いられるのは必至。そのためにも求心力のある来季指揮官の早期決定が必須。その第1歩となる交渉で、いきなりつまずいた。