川崎Fの日本代表MF中村憲剛(30)が7日、ドイツなどへの欧州移籍を視野に入れていることを明かした。今季で契約満了となるタイミングに「今回がラストチャンス」と長年の夢へ挑戦を希望。クラブ側はこの日、契約延長を正式に打診したが、エースの気持ちも尊重している。W杯南アフリカ大会後、GK川島永嗣(27)FW鄭大世(26)が渡欧。川崎Fの顔として、日本代表の常連として活躍してきた中村の来季契約が注目される。

 MF中村が30歳での夢への挑戦に前向きな姿勢を見せた。「海外のことを考えると、今回のタイミングがラストチャンス」と、初めて欧州移籍を選択肢の1つとしていることを明らかにした。

 今季中にドイツ・ブンデスリーガで日本代表MF長谷部が所属するウォルフスブルクのスカウトが複数回試合を観戦し、中村の動きをチェックしている。また、FIFA代理人として元日本代表監督オシム氏も手掛ける大野祐介氏と契約し、今後への準備も進めている。

 クラブ側もJ2からJ1の強豪に定着させた功労者の気持ちは理解している。以前から海外志向があったエースの契約内容に海外限定で移籍容認の一文が盛り込まれている。だが、新監督を迎える来季も必要不可欠な存在であることに変わりはなく、この日、クラブは契約延長を正式に打診した。

 当然、中村本人もクラブへの愛着や、初タイトルを逃し続けてきた悔しさがある。「フロンターレは常に最大限の評価をしてくれている。1人じゃなく家族もいるのでしっかり考えたい。プロに入ってこんなに悩むのは初めて」。

 来年1月のアジア杯(カタール)の予備登録メンバーに選出され、今月末から始まる日本代表合宿参加が濃厚。明日9日からチームはオフに入る。しばらくは静養するが「始動も早くしなくてはいけないので、ゆっくり考えている暇もない。年は越したくない」と年内に結論を出す構えだ。