<J1:山形0-0C大阪>◇第7節◇24日◇NDスタ

 山形も負けない。ホーム開幕戦でC大阪と対戦。0-0で引き分け、貴重な勝ち点1を獲得した。中央からの縦パスで攻め込んでくる相手に苦戦。後半24分には絶体絶命のピンチを迎えたが、GK植草裕樹(28)がゴールを死守した。前日23日、仙台が川崎Fに劇的な逆転勝ち。同じ東北勢、同じ被災地のライバルを見習い、無失点で切り抜けた。

 ◆負けないPart1・魂の守り

 「負ける気は全くしなかった」。試合後、小林伸二監督(50)が言った。ゴールを守り抜いた。何度もペナルティーエリアへの侵入を許した。1対1の絶望的な場面もあった。後半24分、C大阪MF倉田に抜け出しをくらい、残るは植草だけ。失点を覚悟した。「今日はいろんな意味で気合が入った。山形ファン、被災されている方のためにも」。この気持ちが体を動かした。シュートを体に当て、はじき出した。

 チーム作りの基盤「堅守」に立ち返った。J1浦和(10日)、JFL秋田(17日)の練習試合は、守りが機能せず全敗した。C大阪戦を見据えた20日からの練習では、守備の確認に多くを費やした。この日、宮本、小林の両サイドバックは90分を通じ、常に堅実なプレーを選択。2人がオーバーラップする場面はほとんど無かった。得点機を削っても、点はやらない。「今日は完全に引いて守った。絶対に負けられなかった。この時だけでもいいから熱く燃えたかった」。小林監督は何より、被災地に勝ち点を届けたかった。

 ◆負けないPart2・仙台に学んだ

 最後までハードワークすることの強さをライバルから教えられた。前日の仙台は、何人も足がつっていたのに、あきらめず守り、攻めた。感銘を受けた小林監督は選手に「最後まで必死に走りきること」を命じた。「気持ちがすべてじゃない。でも気持ちが何かを起こすきっかけになる」。選手も応えた。何度抜かれても追いかける。前半36分、ペナルティーエリア内でのピンチ。渾身(こんしん)のスライディングで救ったのは、最前線から全力疾走で戻ったFW北村。「選手はしっかりやってくれた」。

 ◆負けないPart3・耐える

 震災時には選手数人も避難生活を送った。ガソリン、食料不足で練習が困難となり、約2週間チームは解散。1日の再開直後、ブラジル出身のウーゴが地震、原発事故の影響で退団した。この日もチャンスは少なく、ピンチの連続。しかし負けなかった。粘り強くしのいで得た勝ち点1が、東北に勇気を与える。【湯浅知彦】