<J2:札幌2-0鳥取>◇第12節◇15日◇札幌ドーム

 三上が目覚めた!

 J2札幌が鳥取を下し、ホーム2戦連続完封勝利を飾った。前半6分に新人のFW三上陽輔(19)がプロ初得点を決めると、後半15分にもヘディングで2点目を決め勝利に貢献した。前節まで4戦317分無得点も、信じて起用し続けた石崎信弘監督(53)の期待に応えた。札幌は勝ち点を7に伸ばし13位に浮上した。

 323分目にして、ようやく三上に1発が出た。前半6分、MF古田の縦パスに反応すると、ゴール右で冷静にGKをかわし右足でゴールに流し込んだ。歓喜のどさくさに紛れDF日高が顎をわしづかみ。これが2点目の“スイッチ”になった。後半15分、その日高の右クロスをファーサイドに走り込みヘッド。今度は“どうだ”と自慢の顎を前に突き出し喜びを表現した。

 「1点目は決めた後もしばらく実感なくて。何度も掲示板を見てました。1-0。それで、ああ決めたんだと」。昨季U-18所属ながらリーグ3得点とブレークも、今季は前節まで4戦シュート2本無得点と沈黙した。石崎監督は12日の戦術練習でボランチ宮沢の1トップをテスト。指揮官自身も明らかに宮沢の方がチャンスをつくれると感じたが、あえて三上を信じ使い続けた。「これで吹っ切れてくれれば」。石さんのおとこ気に19歳が応えた。

 大ストライカー2人の言葉が不調の三上を支えた。得点できない間、傍らにはいつもカズの著書「やめないよ」が置いてあった。「いろいろ勉強になりました」。どんなに苦しくても上を向いて突き進む。40歳を過ぎても一線で戦うキングのフレーズが、なえそうな心を奮い立たせた。

 もう1人はゴンだ。昨年、初対面したときにどうしても聞きたいことがあった。98年W杯フランス大会で日本人初ゴールしたときの心境だ。「負けてる状況だったからうれしくなかったね」。歴史的1発も、チームが勝たなければ意味がない。勝利を決定づけるには1点じゃ物足りないと、貪欲に2点目を追い求めた。

 昨季12月4日の熊本戦以来、自身2度目の1試合2得点。それでも「3点目を狙っていたんで」とさらなる高みを見据えた。チームとしても流れからの初得点に加え、完封勝利と収穫たっぷり。札幌が待望の「陽輔弾」をきっかけに上昇気流をつかみにいく。【永野高輔】