<J1:G大阪6-3川崎F>◇第22節◇20日◇万博

 ついに、G大阪が首位になった。川崎Fとの壮絶な打撃戦は、3-3の後半33分にMF明神智和(33)のミドルシュートで勝ち越し。終了間際にはFWラフィーニャ(24)がハットトリックを決めるなど、07年6月23日東京戦以来の大量6得点で快勝した。勝ち点44とし、首位名古屋が仙台に敗れたため、09年第2節以来約2年5カ月ぶりに首位に立った。残り12戦に6季ぶりの優勝を懸ける。

 攻撃陣が爆発だ!

 雨の万博でゴールネットが9回も揺れた。リーグ最多得点を突っ走るG大阪、壮絶な打ち合いは大歓迎だった。2点リードしながら、前半残り15分で3失点。「早くハーフタイムに…」と弱気になった西野監督の「守備に回るな」のゲキが効いた。芸術家の故岡本太郎氏作「太陽の塔」がそびえる万博で、同氏が描いた「挑」を今季スローガンにする相手に勝利。4年2カ月ぶりの6得点と、派手な花火とともに首位に立った。

 天に届けた決勝弾だった。3-3の後半33分、右サイドから中央へ送られたパスに、途中出場の明神が走り込んだ。雨粒を弾くようなグラウンダーのシュートは、ゴール右隅へ決まる今季初得点。西野監督と抱き合った主将は雨空を見上げ、天に両手を突き刺した。

 涙の向こうにいたのは、ともに02年W杯日韓大会を戦い、4日に死去した松田直樹さん(享年34)だ。代表では同じ右サイドで連係し、叱咤(しった)激励された。亡くなる直前には長野まで足を運んで見舞い「倒れても闘っていたマツさんの思いは、ずっと持っていたい」。この日は腰痛で先発を外れたが、闘う姿勢は忘れず「気持ちで入った」という。「報告は松田さんに?」と聞かれると、明神は静かにうなずいた。

 イレブンが帰りのバスに乗り込んだころに、名古屋が負けた。リーグ戦トップは開幕2連勝した09年3月の第2節以来。中盤戦以降では、浦和、鹿島と激しい戦いを繰り広げた07年20節以来4年ぶりとなる。MF遠藤は「どんなチームより勝ち点が上。代表の中断期間(29日から)まで、しっかり戦っていきたい」。取られても取り返す、まさに「超攻撃」のサッカー。6季ぶりのリーグ制覇へ、G大阪は前へと進んでいく。【近間康隆】