清水は始動日から充実感にあふれていた。16日、初練習を終えたアフシン・ゴトビ監督(47)は「正直驚いた。選手は良いコンディションを作ってここに戻ってきた。集中力、モチベーションも高かった。笑顔があって前向きな練習ができた」と、納得の表情でグラウンドを引き揚げた。

 昨年、就任1年目の始動日はイラン代表監督として参加していたアジア杯の影響で不在。手探りでのスタートにグラウンドには照明が点灯され、練習は2時間半に及んだ。1年の戦いを通して指揮官の考えるサッカーは選手に浸透。MF小野伸二(32)は「1年でやりたいサッカーは理解したつもりでいる。やりやすい始まりだったし、あとは精度を高めてそれをピッチで出すだけ」。選手が笑顔を浮かべ、シーズン中と変わらないボールを使ったメニューを軽快にこなした。

 ペースは一気に上がる。21日から香港遠征を行い「アジアスーパーチャレンジカップ」に参加。始動から1週間後の遠征で実戦での課題を明確にしてから、2月には鹿児島キャンプで最終調整を行う。昨年は開幕戦で柏に大敗したゴトビ監督は今季開幕の3月10日に照準。「序盤にいいスタートが切られれば、優勝の確率が上がる」とスタートダッシュの重要性を説いた。

 昨年は11勝12分け11敗で10位に終わった。ゴトビ監督は「昨年は挑戦の年だった。昨年でスタイルは構築でき、チャンピオンになるだけの基盤はできた。ファンのもと、大きな事を達成したい」。創設20周年。手にしたことのないJリーグ王者を目指す。【前田和哉】