<ナビスコ杯:広島1-3仙台>◇1次リーグA組◇6日◇広島ビ
これが背番号9の意地だ。仙台中原貴之(27)が2得点でチームを勝利に導いた。1点を追う後半11分に豪快なヘディングで同点弾。同31分にもダメ押しとなる3点目を決め、1次突破に望みをつないだ。10年12月4日リーグ川崎F戦以来の今季初スタメンで、在籍9年目のストライカーが存在を強烈に誇示した。
まさに全身全霊を込めた一撃だった。中原が決めた。やっぱりヘディングで決めた。太田の右クロスにジャンプ一番、思い切り頭を振る。10年11月14日のリーグ磐田戦以来、570日ぶりに公式戦でネットを揺らした。「J2時代からクロスに弱い印象がある。そこは変わってない。あっ、これ書いちゃダメですよ」。スカウティングを終えた試合2日前に話してた通りのゴールだった。
ここまでリーグでの出場は3試合、わずかに6分。チームの快進撃を、正直悔しいと思ってしまう自分もいた。それでも「気持ちが切れたら終わり。練習するしかない」と腐らなかった。チームが敗れた5月26日の川崎F戦後には、同じく出場機会の減っていた武藤と励まし合ったという。「こうして何もできずに見てるだけなのが一番悔しい。でも、オレたちはやり続けなきゃいけないよな」。さらにこのナビスコ杯2連戦を前にして「武藤はまだ若い。でも自分は今年で28になる。そんなことでグダグダ言ってられない」と自分を奮い立たせた。
チームは後半20分、またしても太田の右クロスから後半投入されたウイルソンが頭で突き刺して逆転。31分には抜け出した中原が今度は左足で決め、試合を決定づけた。前半だけで交代したもののプロ初先発を果たした奥埜、果敢な突破で再三ゴールに迫った武藤らリーグ戦でなかなか出場機会のなかった選手たちも持ち味を見せた。そして中原。雌伏の時を経た野獣が、広島で躍動した。【亀山泰宏】



