<J1:浦和2-0名古屋>◇第34節◇1日◇埼玉

 浦和が、ACLの舞台に帰ってきた。ホームに名古屋を迎え、前半23分にMF柏木陽介(24)のヘディングで先制すると、後半14分にはDF槙野智章(25)が弾丸FKを決めて2-0で勝利。鳥栖と柏を勝ち点で上回り、5位からの大逆転でACL出場圏内の3位に滑り込んだ。昨年のJ1残留争いから一転、今季はACL出場争いをチーム一丸となって制した。

 大きなガッツポーズが、ACL出場のうれしい知らせの証しだった。試合終了の笛が鳴ると、イレブンは一斉にベンチを見た。大きな丸のサインに、真っ先に槙野が大きくジャンプした。

 1点リードの後半14分、ドリブルで仕掛けたFW原口がファウルを受けFKを獲得。槙野が右足で狙い、ボールは左ポストを直撃すると回転を変え、右サイドネットに吸い込まれた。「世界のDFの中で、3本の指に入るくらいシュート練習をしてきた成果です」。ほぼ毎練習後、原口やMF阿部とFKやPKの練習をしてきた。

 前半ロスタイムには、名古屋FW永井がフリーで放ったシュートをおなかでブロック。決定的なシーンに「守備のところで存在感を出せてよかった」と笑顔だった。

 試合後のヒーローインタビューでは、スタンドから歓声が沸いた。マイクの不調で声がとぎれとぎれになったが、それでも重要なところは伝わった。「来年も僕は浦和レッズとして戦うので、一緒に戦いましょう!」。ドイツ1部ケルンから期限付き移籍で来ており、来季の契約は正式決定していない。11月17日のリーグ戦広島戦前には、気持ちをかためており、残留を今季最多となる5万1879人の観衆の前で宣言した。

 ペトロビッチ新監督が指揮を執り、広島時代の愛弟子である槙野が加入。ピッチ内外でチームをまとめるため、スマートフォンで使える通話・メールアプリケーションの「LINE(ライン)」を全選手がダウンロード。オフの日も何を食べたか、何をしているか、連絡を取っていた。敗戦の日に誰かがメッセージを送れば、何人もが「がんばろう」と返し、チームがまとまっていった。

 試合後、退団するFW田中とFWポポの背番号「11」、「16」がプリントされたTシャツを全員で着て場内1周した。「選手、フロント、サポーター全員が1つになることがテーマだった。監督のサッカーを積み重ねてここまできた」。さらなる高みにチームの力をさらに結集させる。【保坂恭子】