神戸の元日本代表FW大久保嘉人(30)が、川崎Fに移籍することが30日、分かった。複数のJリーグ関係者が明らかにした。神戸と複数年契約を結ぶ大久保は、J2に降格した責任から残留を希望。しかしクラブ側が、DF伊野波、MF野沢らとともに主力の大量放出に踏み切った。大久保には欧州、中東、韓国など海外を含め、複数クラブが獲得に乗り出していた。最終的には、初のリーグ制覇を狙う川崎Fに移籍することが決まった。

 年の瀬に、大久保が新天地に移ることが決まった。移籍先は来季、初のリーグ制覇を狙う川崎Fだ。Jリーグ関係者は「ここ数日中で合意に達したようだ。年明けに発表になる。本人には、苦渋の決断だったようです」と明かした。神戸との契約は来年末まで残っている。それでも10年W杯南アフリカ大会で全4試合に先発し、16強進出に貢献した大久保の評価は依然として高い。

 欧州を含め、来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場する中東、韓国、オーストラリアなど複数の海外クラブとの争奪戦になった模様だ。年末になって最後に獲得オファーを出した川崎Fが、最終的には逆転で獲得に成功。J関係者は「風間監督の下で、タイトルを取るんだという熱意が伝わった」と説明。大久保は現在、長期休暇中のため、年明けにも正式発表になる見通しだ。

 当初、大久保は残留を希望していたという。神戸がJ2に降格したことで責任を感じていることに加え、三木谷会長から厚い信頼を受けていたこともあり、移籍の選択肢はなかった。それでもクラブ側は、磐田入りが濃厚な日本代表DF伊野波、鹿島復帰の可能性が高いMF野沢らとともに主力の大量放出を決断。エース大久保も、移籍せざるを得ない状況に陥った。

 大久保にとって、来季は日本代表復帰を目指すシーズンになる。10年W杯後は代表から遠ざかっていたが、今年2月に初のザックジャパン入り。その後は再び代表に招集されていない。今季リーグ8位で、来季の進撃を狙う川崎Fで完全復活すれば、代表復帰も現実的になる。大久保は新天地で、14年W杯を目指して再スタートを切る。