名古屋がベルギー1部スタンダールのロンドン五輪代表FW永井謙佑(24)に異例の復帰オファーを出していることが9日、分かった。複数のJリーグ関係者はこの日「名古屋が水面下で動いている」と明かした。Jのこの夏の移籍登録期間(ウインドー)は16日で終了する。完全移籍の場合は移籍金、期限付きの場合はレンタル料の交渉が必要で、移籍成立へ残された時間も少ないが、電撃的に復帰する可能性がある。

 永井は1月に名古屋からスタンダールに完全移籍。しかし、FW過多のチーム事情と昨季からの監督交代もあり出場機会に恵まれていない。名古屋側は来年のW杯ブラジル大会で切り札となることのできる才能を、このまま欧州でくすぶらせるわけにはいかないと判断。日本サッカー界、チームそして永井にとって最も良い選択として異例の再獲得へと動きだした。

 名古屋は50メートル5秒8の驚異のスピードと抜群の得点感覚を「日本の宝」と位置付け、11年から2シーズン大切に育て海外へと送り出した。両者の関係は今も良好。何よりチームメートも顔見知りばかりという“地の利”もあり、シーズン途中の加入でも不安はない。

 12年ロンドン五輪で世界を驚かせたあのスピードは、ザックジャパンに足りない絶対的な個の力。最後の1ピースとして加わるために、Jで再びプレーしコンスタントに試合に出場するという選択肢もある。リーグ序盤の低迷を脱し、上向きつつあるチームに永井帰還が実現すれば、これ以上ない補強となる。

 ◆永井謙佑(ながい・けんすけ)1989年(平元)3月5日、広島県生まれ。九州国際大付高(福岡)から福岡大に進学し、10年W杯南アフリカ大会には香川(現マンチェスターU)らとサポートメンバーとして同行。11年に名古屋入り。1月に日本GK川島がいるスタンダールに移籍。日本代表として国際Aマッチ1試合0得点。177センチ、67キロ。