<J1:横浜3-0浦和>◇第23節◇28日◇日産ス

 俊輔の右足で、横浜が再び首位に返り咲いた。MF中村俊輔(35)がJリーグでは14年ぶりの1試合2ゴールを決め、3-0で浦和に快勝。前半27分に左足で先制点を奪うと、2-0の後半3分には珍しく右足で豪快なミドルシュートを決め、突き放した。リーグ戦正念場の暑い夏が終わろうとしているが、チームは今季いまだ連敗がない。9年ぶりのリーグ制覇が見えてきた。

 日本サッカー界トップのレフティーが、珍しく右足で魅せた。2-0の後半開始3分。敵陣ペナルティーエリア手前でボールを持つ。対峙(たいじ)する浦和MF鈴木を巧みなフェイントでかわすと、ゴール方向へ視界が開いた。すかさず右足で狙った。「(鈴木)啓太がいて、ワンフェイントでいったら、うまくいった」。体勢を崩しながらのぎこちないシュートとなったが、約20メートルのミドル弾はゴール左に吸い込まれた。

 前半27分にはMF小椋が浦和DF那須に激しいプレッシャーをかけ、中村はこぼれたボールを左足で押し込んだ。勝てば首位に躍り出る大切な節目の試合で、大きな先制点を奪った。

 1試合2得点は、リーグでは99年4月10日のC大阪戦以来、14シーズンぶり。それでも、セルティック時代の09年にはハットトリックを決めており、中村は「(14年ぶりは)Jで、でしょ?

 別に海外でハットトリックも決めてるしね」と素っ気なかった。

 代名詞の左足でゴールを量産してきたが、右足での得点は3年ぶりで、J通算4得点目。10日鳥栖戦では12年ぶりにヘディングゴールもマーク。「この年齢になると、いろんなことが起きるから面白い」と、目を丸くして振り返った。

 チームもホーム浦和戦は4年ぶりの白星で、今季3度目の首位浮上。前節鹿島戦で痛恨の逆転負けを喫したが、中3日の試合で完封勝利を飾り、失速する気配はない。中村は「チームが勝ってる時は、自分もいいし、周りもいい。みんなで鹿島戦のミスを取り返せた」。それでも、「(優勝は)意識しないよ。全然しないよ」とキッパリ言った。失敗を反省し、目の前の試合に集中する。このリズムをキープすれば、9年ぶりの栄冠が見えてくる。【由本裕貴】