<J2:札幌1-0神戸>◇第40節◇10日◇札幌ド

 ビン札幌ドーム1号で2連勝!

 札幌は神戸と対戦し、0-0の前半37分に、ベトナム代表FWレ・コン・ビン(27)がPKで札幌ドーム初ゴールを挙げ、貴重な勝ち点3を獲得した。10年のクラブ記録に並ぶ札幌ドーム4連勝となった。自動昇格を決めていた2位神戸を下し、勝ち点は60。J1昇格プレーオフへの出場権を得られる6位の徳島との勝ち点差は3のままだが、順位を8位から7位に上げた。

 ベトナムの英雄が自身のCKからチャンスを呼び込んだ。0-0の前半37分、ビンの右CKのこぼれた球を河合がミドルシュート。止めに入った神戸DF北本の手に当たり、PKを獲得した。今季最多1万8088人の大観衆が後押しする中、堂々とゴール前に立った。「前田と(宮沢)裕樹から、蹴るかい、と聞かれた。みんなの信頼を受けていることが、とても自信になった」。思い切り振り抜いた右足シュートは、ゴール左隅に一直線に突き刺さり決勝点となった。

 シュート精度には絶対的な自信があった。居残りシュート練習で、最後まで決められずに残った選手がジュースをごちそうするゲームをしている。MF堀米は「ビンだけは1度も負けたことがない。シュートがとにかくうまい」と言う。前日9日の練習後も、敗れた堀米に買ってもらったスポーツドリンクを飲み干し「明日も点がほしいね」と笑顔で引き揚げた。練習通り、正確無比な一撃が、神戸討ちにつながった。

 財前監督はビンについて「後半は少し攻撃に絡めていなかったが、気持ちが入っていた」と評価した。同じサイドハーフは経験豊富な砂川や岡本ら日本人選手を先発で起用する方が、コミュニケーションも取りやすく、守備の連動面でもプラスは大きい。だが、今回は負ければプレーオフ圏が一気に遠のく可能性があった大一番。財前監督とコーチ陣は「気持ちの強さがある」と意見をまとめ、代表52戦31得点というビンの得点への猛烈な執念にかけ、3試合ぶり先発を決めた。

 「最初から使ってくれた監督の期待に応えたかった」と、ゴール後は真っ先に財前監督に駆け寄った。初得点の際は、ユニホームを脱いで警告を受けたが、今回はスマートに手を広げて喜びを表現した。「うれしかった。次はもっともっと多くの人に応援してほしい」。残り2戦で、プレーオフ圏とは勝ち点3差。岐阜、北九州と下位との対戦で勝ち続けることが、昇格への望みをつなぐ。最後の180分、熱いビン魂を武器に、4連勝での目標達成を狙う。【永野高輔】