鹿島の日本代表FW大迫勇也(23)が6日、独ブンデスリーガ2部1860ミュンヘンに合流するため、成田空港からドイツへ渡った。同日、鹿島から移籍が正式発表された。フリードヘルム・フンケル監督(59)からは、1トップでの出場を確約されているという。W杯へ向け、あえて厳しい道を選んだストライカーは今日7日から始動する。

 成田空港に姿を現した大迫は、腹を据えたように「チャレンジし続けないと、成長はない。W杯もあるし、ステップアップするために自分をあえて厳しい環境に置こうと思った」と決意を話した。5カ月後に迫ったW杯を見据え、自らを追い込んだ。ミュンヘンの複数の大衆紙(電子版)は、移籍金を50万ユーロ(約7000万円)と報じた。

 1トップでの起用を約束されている。1860ミュンヘンは現在8位で1部昇格圏内の3位とは勝ち点3差だが、得点力が課題。現在1トップを務めるラウトは昨季まで3季連続2桁得点を挙げた元ドイツ代表FWだが、今季は2得点。フンケル監督は「(大迫を)1トップで使う。ぜひ来てくれ」とラブコールを送るほどだ。古豪クラブの象徴である「ライオン」の威厳を取り戻すために背負う期待は大きいが、大迫も「球際の激しさはJと違う。体も大きい相手にどれだけできるか試したい」と待ち切れない様子だ。

 早朝には鹿島を訪れ、別れを告げた。クラブ愛は強いが「サッカー人生は1度しかないから」と移籍を決めた。初の海外生活にも「サッカーなんで。そこはあまり気にせずいきます」と不安はない。昨年末に渡独した際にメディカルチェックを済ませており、「楽しまなきゃね。頑張るから、俺!」と言い残して機上の人となった。常勝軍団の鹿から、獅子となって新天地で牙をむく。【桑原亮】

 ◆1860ミュンヘン

 チーム名の通り1860年に創設され、ミュンヘンをホームとする3チームのうちの1つ。本拠地は欧州屈指の名門バイエルンと同じアリアンツ・アレーナ。現在ブンデスリーガ2部8位で、降格後10季ぶりの1部復帰を目指す。クラブのトレードマークはライオン。