C大阪の日本代表FW柿谷曜一朗(24)が今冬、セリエAフィオレンティナからの正式オファーを断っていたことが1日、分かった。今回はW杯前の大事な時期ということを考慮して見送った形だ。さらに関係者によると、C大阪との契約が1年残っている柿谷は「自分を育ててもらったクラブにお金を残せる形で移籍したい」と話しているといい、フィオレンティナに限らず、C大阪が違約金を手にできるW杯後の今夏の移籍が濃厚となった。

 セリエAなど欧州各国リーグは現在、シーズン真っ最中。日本人の途中での移籍は定位置確保が難しいとされている。柿谷にとれば出場機会が確保できず、コンディションを落とすリスクを避け、今冬の移籍を見送ったとみられる。既にC大阪は柿谷の残留を発表していたが、1月末で冬の欧州移籍市場が閉まったことで、正式に「C大阪柿谷」としてW杯を目指すことになった。

 柿谷にはこれまでもドイツのドルトムント、スペインのセビリア、ヘタフェなど欧州各国1部クラブが獲得に興味を示してきた。フィオレンティナも現在セリエA4位で、かつてはアルゼンチン代表FWバティストゥータらスターが在籍するなど名門。柿谷が今回のW杯で活躍すれば、欧州からの注目がさらに高まることは確実。過去には「バルセロナ以外には行かない」と発言したこともあるが、今夏には激しい争奪戦に発展しそうだ。

 ◆フィオレンティナのチーム事情

 21節終了時点で勝ち点41の4位につけている。だが今季チームをけん引し、14ゴールでセリエA得点王争いのトップに立つイタリア代表FWロッシが、1月5日のリボルノ戦で右膝靱帯(じんたい)を損傷。長期離脱を余儀なくされた。ドイツ代表FWゴメスも痛めた左膝の回復が遅れ、昨年9月から離脱中。マンチェスターUからMFアンデルソンを獲得したものの、FW陣は手薄な状態が続いている。