<ナビスコ杯:仙台1-2鹿島>◇1次リーグ◇16日◇ユアスタ

 仙台はホームで鹿島に敗れ、公式戦2連勝を逃した。前半41分にFKを直接決められて先制されたが、後半15分にFW武藤雄樹(25)の今季初ゴールで同点。昨年10月以来となる本拠ユアスタでの勝利を目指したが、同38分に追加点を奪われた。

 勝負を分けたのは「したたかさ」だった。初勝利を挙げた12日のリーグ横浜戦でつかんだ手応えを胸に何度もチャンスを作ったが、鹿島は一瞬のスキを見逃してはくれなかった。前半41分の先制点は、ゴール前でパスミスを奪われて与えたFK。後半38分の決勝ゴールは、前ががりになった時間帯に警戒していたカウンターからだった。渡辺監督は「試合巧者の鹿島さんに(失点)ゼロでいくプランの中で先に取られてしまった」と唇をかんだ。

 勝ち点は失ったが、大きな収穫を手にした。選手たちが「1つ取れば自信になる」と話していた流れの中からのゴールが、公式戦10戦目にして生まれた。沈黙を破ったのは武藤だった。後半15分、左サイドから中央にドリブルで持ち込み、右足でミドルシュート。無回転の弾道に鹿島GK曽ケ端は1歩も動けず、ネットに突き刺さった。勝利にはつながらなかったが「思い切りに欠けていたので、打ってよかった」。昨季公式戦ノーゴールに終わった男が復調の兆しを見せた。

 互いにメンバーが違うとはいえ、0-2で完敗した3月の対戦とは比較にならないほど鹿島を苦しめた。横浜戦と同様に素早い攻守の切り替えから赤嶺にボールを預け、両サイドに散らして相手を揺さぶった。前半8分には赤嶺のパスを受けた太田の右クロスを、左から走り込んだ佐々木がシュート。わずかに枠を外れたが、理想的な流れだった。佐々木は「どんどん前に出て勝負できた」と手応えを口にした。

 シュートや決定機の数も上回り、指揮官は言った。「チャレンジせずに後ろで構えるなと言ってきた。チャレンジに対して悲観はしていない」。積極性を取り戻した仙台は、確実に前進している。【鹿野雄太】