<J2:磐田2-2横浜FC>◇第8節◇20日◇ヤマハ

 磐田は下位の横浜FCと引き分け、首位湘南との勝ち点差が10に広がった。右足親指を骨折したDF菅沼駿哉(23)に代わり、浜松開誠館高出身のDF木下高彰(20)が公式戦初先発。チームは不運なPKから白星を逃したが、落ち着いたフィードを繰り出し大役を全うした。MF小林祐希(21)も1年半ぶりに先発し持ち味のパス展開力を発揮。痛恨のドローの中で、若手の台頭が唯一の収穫だった。

 プロ3年目の木下がシャムスカ監督(48)の大抜てきに応えた。18日の練習でDF菅沼が右足親指を痛め、骨折で全治6週間と診断された。同監督は19日夜、フィールド最年少の木下に先発を伝えた。DFの先輩がいる中で「3階級特進のような感じでまさかと。でも練習試合でも点も取ってきたし、監督も試合に出られるだけの準備はできていると言ってくれていたのでモチベーションに変えていた」。

 MF松井大輔(32)がキックオフ後のファーストタッチを木下に送り、DF伊野波雅彦(28)も「自分がカバーするから好きにやっていい」と気遣ってくれた。普段の言動は遠慮がちで、昨年までは練習試合でも途中交代させられていた。だが「実は心に秘めているものがあった」と練習試合のビデオを見直し研究と努力を重ねてきた。

 前線へのフィードでチャンスを演出し、攻撃でも惜しいシュートシーンがあった。「そこで決められないのが僕が持っていないところ。最初の失点は僕のクリアが小さかったから。対人でももっとやれた。すべての点でレベルアップしないと」と反省するが、シャムスカ監督は「見事に期待に応えてくれた」と合格点を与えた。

 この日は浜松開誠館の恩師、青嶋文明監督(45)も観戦した。青嶋監督は「サポーターの気持ちで応援していた。後半は落ち着いてできていた。次にチャンスがあったら、この経験を糧にしっかり結果を出してほしい」と話した。2試合で5失点と守備が崩れている中、若手の木下の成長がチーム飛躍のカギを握る。【岩田千代巳】