<J1:仙台0-0川崎F>◇29日◇第10節◇ユアスタ

 仙台はホームで川崎Fと引き分け、今季7試合目の無得点に終わった。ホーム初勝利はならなかったが、ボランチに入ったMF武井択也(28)が低いパスをつなげてチャンスメーク。守っても相手のパスの供給源を徹底的に封鎖し、4試合ぶりの無失点に貢献した。

 苦しむ仙台に「ボランチ武井」が大きな変化を生み出した。受けたボールはワンタッチでさばき、積極的に縦パスを狙った。前方にスペースがあれば自らドリブルで運ぶ。ロングボール一辺倒で相手DFにはね返され続けた前節清水戦から、攻撃にアクセントが加わった。少なかったミドルシュートも自ら2本放った。得点は奪えなかったが「久々に本職で出られて、単純に楽しかった。今までの試合よりボールを動かせた」とうなずいた。

 武井の存在が、相手の描いたプランを崩させた。川崎Fはセンターバック(CB)に188センチの中沢と184センチのジェシを並べ、空中戦には自信を持っていた。仙台が攻撃時にまずFW赤嶺を狙うのは変わっていない。だがこの日は、頭ではなく足元へのパスが明らかに増えた。武井は「前の選手の足元に1本入れるだけでも状況は変わる。相手が走るタイミングもずれてくるので、ムダなようで大事なこと」。狙い通りに赤嶺のポストプレーから手薄なサイドへ展開して揺さぶった。何度もチャンスを作ったFW武藤は「武井さんが入ってリズムよく回せて、後半はボールを持てる時間もあった」と周囲も変化を感じ取っている。

 守備での貢献度も高かった。中盤ではコンビを組んだ富田と連係して川崎Fの日本代表候補MF中村に決定的な仕事をさせず、終盤には右サイドバックに回って快足MFレナトの突破を許さなかった。渡辺監督は「攻守で彼の良さが出た。周りの選手にも刺激になる」とたたえた。ケガ人の影響もあったが、角田がCBに回って失点は減った。今季から加わった新たな力が、逆襲のキーマンになる予感がする。【鹿野雄太】