<J2:札幌0-1愛媛>◇第13節◇12日◇札幌ド

 上里の復帰だけが、わずかな光明-。J2札幌は愛媛に敗れた。4月20日群馬戦以来の勝ち点3を狙ったが、5試合連続で勝利には届かなかった。1点ビハインドの後半28分に、MF上里一将(28)が昨年9月15日の栃木戦以来8カ月ぶりに復帰、好機を演出も、得点は生まれなかった。昨季から続いていた札幌ドーム連続負けなし記録は、11試合でストップ。勝ち点16のままで、順位は今季最低の16位になった。

 厳しいブーイングが、札幌の現状を物語っていた。愛媛のシュートはわずか3本。札幌は12本放つも結果は0-1だった。前半20分、DF薗田のスライディングがFW河原にかわされ、そこからの右クロスをMF藤に頭で押し込まれた。「あの1本だけだった。先制されるとブロックをつくられるのは分かっていただけに申し訳ない」。うなだれる薗田。ピンチらしい場面は他になかっただけに、痛いワンプレーになってしまった。

 5月3日の栃木戦から3戦連続で、前半に先制点を献上した。5戦ぶり勝利を狙うも、また序盤で厳しい展開に陥り、守備を固める相手をこじ開けられなかった。「1点を先に取れたので後は守り抜くことに徹することができた」と愛媛の石丸監督。守備的な相手の戦術を分析しながらプランが崩れ、財前監督は「前半がすべてだった。後半、積極的に攻めてくれたが、崩しきれなかった」と悔やんだ。

 4月26日の岡山戦から5試合で勝ち点わずか2。前回勝った同20日の群馬戦後はプレーオフ圏6位にいたチームは、ずるずると16位まで後退した。救いは後半28分に途中出場した上里の存在。出場直後の左CKでは精度の高いキックを、FW都倉の頭に合わせた。得点にはならなかったが、同32分には強烈な左足ミドルも放った。

 財前監督は「ラストパスの精度、展開力ともに、かなりやってくれた。試合後の状況を見てからだが、徐々に出場時間は長くなるのは間違いない」と高く評価。後半から左右にボールを動かし、リズムをつくった上里も「出ている選手が何かを感じ、それを練習で出していけば良くなる。まず目の前の1勝を取れば波に乗れる」と前向きだった。

 今日13日の東海大北海道との練習試合でDFパウロンが実戦復帰、15日の練習から右太もも裏痛で離脱しているFW内村と、左ふくらはぎ肉離れで別メニュー中のDF上原慎も復帰予定。まだ5月。主力の負傷で足踏みした分は、12日の千葉戦から一気に取り返す。【永野高輔】