<J1:広島0-1G大阪>◇第23節◇13日◇Eスタ

 日本代表復帰を狙うG大阪のFW宇佐美貴史(22)が祝砲を上げた。前半32分に遠藤とのワンツーで、ゴール前の狭いスペースを果敢に攻めた。FW佐藤が倒れながらこぼしたボールを右足で押し込む先制弾。この1発が長谷川健太監督(48)のJ1通算100勝目につながった。「100勝ですか?

 全然、知らんかった。知っていたら、何かやったのに…」とちゃめっ気たっぷりに話した。

 日本人監督で100勝を達成するのは史上2人目。もう1人が、12年まで10シーズンG大阪を率いて黄金時代を築いた西野朗元監督(現名古屋)だ。17歳でプロデビューさせてくれた恩人でもある。西野監督の下で芽生えた才能が、長谷川監督になって本物になった。宇佐美は「2人ともガンバの監督じゃないですか。僕にとっても、すごくうれしいことです」と本気で言った。

 3-1で勝った10日の天皇杯に続き、中2日で同じ敵地で広島との再戦。長谷川監督は「貴史の個の力が先制点に結びついた」と愛弟子に感謝しつつも「今日は引き分けでラッキーという気持ちだった。連戦で相手も分析してくる。勝つとは思っていなかった」と本音をポロリ。想定外の勝利を運んできたのが、W杯中断明け後の公式戦14戦10発と勢いに乗る若きエースだった。宇佐美が得点すれば今季公式戦全11試合で不敗を誇る。

 一時はJ2降格圏16位に沈みながら、再び5位浮上。ナビスコ杯、天皇杯も勝ち進んでおり、3冠の可能性がある。そして、宇佐美の夢も膨らむ。10月にはジャマイカ戦(10日、デンカS)、ブラジル戦(14日、シンガポール)と代表戦が控える。「ブラジルとやるからというわけではないけれど、常に代表には呼ばれたい」。G大阪にとっても、宇佐美にとっても、実りの秋になる。【益子浩一】

 ▼監督J1通算100勝

 G大阪の長谷川監督が達成。史上7人目。日本人監督では251勝の西野監督(名古屋)に次いで2人目。初勝利は清水時代の05年4月23日の千葉戦。227試合で57分け70敗。