<J1:C大阪2-0柏>◇第23節◇13日◇ヤンマー

 11戦未勝利で降格圏16位に低迷していたC大阪が、大熊裕司新監督(45)のJ1初陣を白星で飾った。新監督は負傷明けのFWフォルランを控えに回すなど前節から先発を6人変更。先発に抜てきされたFW杉本健勇(21)、FW永井龍(23)が得点を決めるなど采配が的中した。5月3日名古屋戦以来12試合ぶりの勝利で、順位は動かなかったが再浮上の光が見えてきた。次節20日は注目の大阪ダービーとなる。

 大熊新監督の決断が、勝利から見放されていたC大阪に白星を運んだ。奮起したのはペッツァイオリ前監督時代に出番の少なかった選手たちだ。前半44分、FKからDF酒本のクロスをFW杉本が頭で押し込んだ。後半18分にはMF楠神からのパスを受けたFW永井がJ1初ゴールとなる2点目。今季2度の監督交代のショックを見事に振り払った。

 8日にユース(U-18)から内部昇格した大熊監督は、10日天皇杯J2磐田戦で初采配初勝利を挙げた。ユース時代に約半年間、指揮官の指導を受けた杉本は「僕も教え子。ジュニアユースの頃から(永井)龍と2人で『トップで2トップを組んで点を取ろう』と話していた。約束を果たせてうれしい」。永井も「最後のチャンスと思っていた。『長居で永井弾』が目標で、何度もその夢を見ていたけど、決めた瞬間は夢じゃないと思った」と笑みを浮かべた。

 左太もも裏痛から復帰したばかりのFWフォルランを先発から外し、10日天皇杯4回戦J2磐田戦に続いて杉本と永井を先発に抜てきした指揮官は「フォルランの状態も万全ではなく、彼らの天皇杯でのアグレッシブさを継続したほうがいいと判断した。2人が得点したのはチームにとっても今後いい傾向」とたたえた。

 MF山口に加え、DF藤本、安藤、MF長谷川と負傷者が続出する中、8月30日神戸戦から先発6人を変更。連動した守備でボールを奪うコンパクトなサッカーを徹底した。

 この日勝ちを逃せば、J2に降格した06年に記録した12試合連続未勝利のクラブワースト記録に並んでいた。15位甲府も勝ったため、J2降格圏脱出はならなかったが、長いトンネルから抜け出した。日本代表MF扇原は「1勝しただけで満足してはいけないが、こういう試合を続けていけばどの相手にも負けない。自信につながる試合だった」と、残り11試合での逆転J1残留を強く誓った。【福岡吉央】