<J1:G大阪4-1鳥栖>◇第26節◇27日◇万博

 好調G大阪が、今季2度目の5連勝を飾った。ブラジル人FWパトリック(26)が後半21分に今季初めて“足”で逆転弾を決めると、約19分間で初のハットトリックを達成。ホームで鳥栖に大勝し、今季最高の4位に浮上した。ヘディングだけで得点を重ねてきた助っ人が、足でもゴールを量産。首位浦和と勝ち点7差に接近し、大逆転Vへ1歩近づいた。

 足では得点が奪えないのか?

 G大阪のチーム内では、そんなウワサが出始めていた。前節まで今季4得点すべてを頭で決めていた助っ人のFWパトリックが、疑念を一蹴した。同点で迎えた後半21、34分とFW宇佐美貴史(22)からの絶妙クロスを右足で蹴り込むと、同39分には相手GKのこぼれ球を再び右足で蹴り込んだ。ブラジルのアトレチコ・ゴイアニエンセに所属した12年以来のハットトリックだ。

 「監督からも『足で点を取れよ』と言われていたんだ。本当に足で点を取ることができて、うれしいね。普段の練習から、足で蹴れるようにしていたんだ」

 サッカー選手は足が命のはずが、身長189センチの格闘家のようなFWは足で点を稼いだことに大喜びだ。通算11試合7得点。焼き肉とうどんが好物で、大阪名物のお好み焼きは苦手。チームの人気者で、長谷川健太監督(49)が「パトが初めて足で取ってくれた」と言えば、宇佐美も「アイツは足ではゴールが決められないと思っていたんやけど」と笑った。

 演出したのは、その相棒宇佐美だ。この日は点取り屋ではなく、脇役に徹して1、2点目と連続して最高のラストパスを繰り出した。代表復帰を目指す22歳は「パトの動きはいつもギリギリまで見ています。キックのモーションに入ってからも、見てる。今まで何度も、ああいうパスを出していましたけど、アイツが決めてくれんかっただけ。やっと決めてくれた」と胸をなで下ろした。

 これで今季2度目の5連勝で4位に浮上した。一時はJ2降格圏16位にいたクラブが、パトリックが加入したW杯中断明け後は10勝1分け1敗の快進撃。ナビスコ杯、天皇杯も勝ち進んでおり、3冠獲得の可能性が残る。

 今季から2年契約を結んでいる長谷川監督の来季続投も決定的になった。同監督は「難しい試合だったが、先制されてやっと目が覚めた」と安堵(あんど)の表情。残り8戦で首位浦和に勝ち点7差に接近。次節鹿島に勝てば、2位浮上の可能性もある。足でも点が取れることを証明した助っ人は「ガンバに新たな歴史を築こうと思う」と宣言。大逆転Vへのシナリオを思い描いた。【益子浩一】

 ▼ハットトリック

 G大阪FWパトリックが達成。自身Jリーグ初。J1で今季2回目、通算209回目。G大阪はクラブ別最多20回目(2位は磐田18回)。