<J1:川崎F1-1仙台>◇第26節◇27日◇等々力

 仙台がアウェーで川崎Fと引き分け、連敗を5で止めた。前半41分、FWウイルソン(29)の5月6日神戸戦以来14試合ぶりとなるゴールで先制。後半終了間際に追いつかれて15位に順位を下げたが、不振にあえいでいたエースFWと全員で戦う姿勢がよみがえった。

 連敗を止めるために、理想を捨てた。前節鹿島戦まで高く保っていたDFラインを、相手がボールを持ったと同時に下げた。12年の2位躍進に貢献したDF上本の復帰後、当時のスタイルを取り戻そうとした。だが、生命線だった前線からのプレスが機能せず泥沼の5連敗。川崎Fの強力攻撃陣を抑えるため、渡辺監督は「背後のスペースを消すこと」を徹底させた。

 強い守備意識を植え付けられ、敵陣から相手を追い回す激しさを取り戻した。高い位置でボールを奪ってチャンスを作ると、眠っていた助っ人が目を覚ました。前半41分、菅井の右クロスを赤嶺が落とし、ウイルソンが右足を振り抜いた。待ちに待ったエースの約4カ月ぶりの復活に、選手、スタッフ、サポーター全員が喜びを爆発させた。

 悩み、苦しんだエースがようやく奪った1点を勝利につなげたかった。後半は相手の猛攻を受けながら一丸となって体を張り続けた。カウンターでの追加点を狙いながら勝ち点3をつかみかけたが、試合終了間際に同点ゴールを許した。渡辺監督は「今の状況で勝ちきれなかったのは悔しいが、強敵相手にアウェーで勝ち点1が取れた。仙台らしいハードワークも取り戻せた」と前を向いた。