<14年ニッカン・フットボールアウォーズ:J1編>

 今季のデータを独自に分析して各賞を選出する毎年恒例の「ニッカン

 フットボール

 アウォーズ」を今日から2回にわたって紹介します。第1回はJ1編。ルーキーの東京FW武藤嘉紀(22)が「上位キラー賞」に輝いた。今季は新人の年間最多得点記録に並ぶ13ゴールをマークしたが、そのうち対戦時に9位以上だったチームから今季最多となる8ゴールを挙げ、上位キラーぶりを示した。

 相手が強ければ強いほど燃えた!?

 武藤は今季得点ランク4位タイの13ゴール。そのうち対戦時に9位以上だったクラブから、全得点の62%にあたる8ゴールをマークした。9位以上の相手に8ゴールは、名古屋FW永井と並び最多。永井は首位チームからのゴールはなかったが、武藤は8月23日の第21節、当時首位だった浦和から2ゴールを挙げた。この差から武藤を「上位キラー賞」に選出した。

 得点王に輝いた川崎FのFW大久保は今季18ゴール中、9位以上からは総得点の33%にとどまる6点。得点ランク2位の鳥栖FW豊田も15ゴール中、9位以上からは4点だけだった。この2人は下位チームからの「取りこぼし」が少なかったともいえるが、得点ランク上位2人と比較すると、武藤の上位キラーぶりがさらに際立つことになる。

 今季のJ1は総じて守備的なチームが多く、J1の1試合平均得点は過去最低の2・53点だった。そんな中で武藤は新人最多ゴール記録に並んだだけでなく、そのゴールには「付加価値」もあった。結局、得点した10試合は7勝3分けと負けなし。日本代表でも、世界の強豪国から金星を挙げるゴールを期待したい。【構成=石川秀和】