今季から2ステージ制に戻るJ1の開幕カード(3月7、8日)が6日、判明した。昨季3冠を遂げたG大阪の相手は東京に内定。ホーム万博に、初タイトルを狙う難敵を迎え撃つ。エースFW宇佐美貴史(22)と日本代表FW武藤嘉紀(22)の同い年対決が実現。さらに今年は「大坂夏の陣」から400周年という節目で、大坂の豊臣家を江戸幕府が滅ぼした歴史背景も試合を盛り上げる。

 11季ぶりの2ステージ制で再出発するJ1が、東京と大阪の2大都市決戦で幕を開ける。複数のJリーグ関係者によると、全9カードが内定。中でも注目は、00年度鹿島以来の3冠を昨季達成したG大阪と、元日本代表FW前田ら積極補強で悲願の初Vを狙う東京の対戦。アジア杯オーストラリア大会の日本代表を3選手ずつ擁し、人気も高い2クラブが開幕戦の顔になる。

 話題沸騰中のストライカー対決も実現する。G大阪の宇佐美と東京の武藤。同じ92年生まれの「プラチナ世代」で、異なるプロセスで日本のトップ選手に上り詰めた2人だ。宇佐美は世代別代表のエースであり続け、11年には19歳でA代表に選出。Bミュンヘン(ドイツ)でもプレーした。一方の武藤は世代別代表の経験がなく、東京の下部組織から慶大に進学。遠回りして力をつけ、昨季はJ1新人最多タイ記録となる13得点。一気にブレークした。

 そんな過程を象徴するエピソードがある。宇佐美がBミュンヘンに所属していた時、ドイツから一時帰国してフットサルをしていると、無名の大学生からサインを求められた。それが当時慶大1年の武藤で、2人とも覚えているという。今では武藤がアギーレジャパンの主力に成長。立場としては逆転した形だが、3冠の立役者となった宇佐美の実力も説明不要。15年も注目の2人が火花を散らす。

 歴史的な因縁も、試合を盛り上げる要素になる。今年は、1615年(慶長20)に起きた「大坂夏の陣」から400周年。江戸幕府軍が大坂城に攻め入り豊臣家を完全に滅ぼした、日本史に残る内戦だ。天下統一(3冠)を遂げたG大阪に、政権交代を狙う東京が挑む構図!?

 史実通り「東」に軍配が上がるのか、それとも「西」が返り討ちにするのか-。壮大なテーマを持った開幕戦に発展する可能性も、ゼロではない。

 今季から2ステージ制になることで、各17試合の前後期ともスタートダッシュが不可欠。G大阪から見たホーム東京戦は9勝1分け3敗と高い勝率を誇るが、昨季までとは1勝の重みが違う。3月7日、万博。新シーズンの覇権を占うことになる一戦が、幕を開ける。

 ◆Jリーグ覇者の翌シーズン開幕戦

 J1で優勝したチームのリーグ開幕戦の勝敗は11勝4分け6敗となっており、勝つ確率(52・38%)は思いのほか低い。05年優勝のG大阪も06年の開幕戦では、1-1で浦和と引き分けている。一方、東京は開幕戦で前年度覇者と対戦したことが02年に1度だけあり、その時は鹿島を4-2で破っている。<15年J1開幕カード>G大阪(優勝)─東京(9位)広島(8位)─甲府(13位)鳥栖(5位)─新潟(12位)名古屋(10位)─松本(J2・2位)仙台(14位)─山形(J2・6位)清水(15位)─鹿島(3位)横浜(7位)─川崎F(6位)湘南(J2優勝)─浦和(2位)神戸(11位)─柏(4位)※左がホーム。カッコ内は昨季順位