【グラスゴー(英国)29日=アンソニー・マッカスカー通信員】セルティックMF中村俊輔(30)が、「世界最強」マンチェスター撃破のカギは「連動性にあり」と説いた。欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグ組み合わせが決定し、セルティックはマンチェスターU、ビジャレアル、オールボーとのE組に入った。世界最高の呼び声高いC・ロナウドとのマッチアップが注目されるが、「相手は1人じゃない。チームとしてどう連動するか」と話し、一昨季に続く「赤い悪魔」退治に自信とも取れる含みを持たせた。

 気負いもてらいもなく、中村は自然体だった。2季前に戦ったマンUとの再戦。前回はアウェー、ホームと2度にわたり、鮮やかな直接FKを突き刺した記憶がよみがえる。

 しかも今年の個人タイトル総なめが予想されるC・ロナウドがいる。いやが上にもメディアの注目度は高まるが、3度目の欧州最高峰の舞台に向かう男の言葉は、しごく現実的だった。

 中村

 ロナウド?

 相手は1人じゃないからね。1人に注目するわけじゃなく、チームとして連動してどう戦っていくか。こっちも個人プレーばかりしたら負けちゃう。相手は世界一のチーム。キープされるだろうけど、自分たちでチャンスをつくりたい。何ができるか考えてやりたい。中盤でただボールをつなぐだけでは無理な相手だからね。

 世界を知る中村だからこそ、周囲の「C・ロナウド対中村」ムードにあえて水を差した。1次リーグ突破をするため、マンU相手とはいえ、勝ち点の獲得が必要だ。相手はルーニー、テベスらスター選手に加え、ギグス、スコールズのベテラン勢が脇を固める。C・ロナウド個人への意識を強めすぎてはかえって危ない。新旧選手が絶妙に織り交ざった「赤い悪魔」相手だからこそ、個人でなく「組織対組織」を訴えた。

 欧州最高峰の舞台を求め、スコットランドにわたって4年目。今季限りで契約満了となるセルティックでのプレーは、今回が最後となる可能性が高い。それだけに欧州での集大成をかけた、思い入れの強い大会となりそうだ。中村は「得点に絡めたらいいと思うけど、それ以外にもいっぱい収穫があると思う。そういうところを見逃したくない」と言葉に気持ちをこめた。

 衝撃の欧州CLデビューから2年。自らの進化を証明すべく、中村は個人プレーに走ることなく「演出家」としてセルティックを勝利へ導く覚悟だ。