<クラブW杯:バルセロナ2-1エストゥディアンテス>◇19日◇決勝◇UAE・アブダビ

 アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(22)が、スペインの名門バルセロナを初の世界一へ導いた。南米王者エストゥディアンデス(アルゼンチン)との決勝戦。1-1で迎えた延長後半5分、右クロスを胸で押し込んで勝負を決めた。大会MVPも獲得し、今年9個目の個人タイトルとなる、21日発表のFIFA最優秀選手賞の受賞も確実。バルセロナの公式戦「6冠」と合わせると15冠の大活躍で、バロンドール(世界最優秀選手)に選ばれた1年を締めくくった。初優勝のバルセロナは賞金500万ドル(約4億5000万円)を獲得した。

 延長後半5分、メッシはDFアウベスが右クロスの構えに入った瞬間、エストゥディアンテスMFベロンのマークを外し、スルリとゴール前に滑り込んだ。「GKが体勢を崩していた。強いシュートは必要なかった」。小柄な体を投げ出し、胸でボールをとらえると、ボールはGKが反応する前にワンバウンドしてゴール右隅に突き刺さった。

 メッシは「確実にいくために、胸で押し込んだ。バルセロナのエンブレムで押し込んだんだ」。歓喜の輪が解けると、両手を空に向けて突き出した。クラブとしては前身のトヨタ杯時代を合わせて3度目の挑戦、クラブ創立110周年でつかんだ初の世界一。15万人のバルセロナのソシオ(会員)だけでなく、すでに亡くなったサポーターにも、栄光の瞬間を報告するかのようなシーンだった。

 大一番では力を発揮するのがスーパースターだ。10日の欧州チャンピオンズリーグ1次リーグ最終節のディナモ・キエフ戦では、FKで決勝点を決めてチームを16強進出に導いた。だがその試合中に右足首のじん帯を損傷した。その後の国内リーグ戦1試合を欠場し、ぶっつけ本番で今大会を迎えた。

 初戦となった17日の準決勝、北中米カリブ海王者アトランテとの一戦でも、大事をとって先発を外れた。しかし、チームが苦戦すると、後半8分から途中出場。その2分後には、10人で守備を固めていた相手のDFライン裏に抜け出し、ファーストタッチで決勝ゴール。そして決勝でも、世界一を引き寄せる執念のゴールを決めた。

 06年大会には、左足第5中足骨骨折の大けがで出場できず、チームは決勝でインテルナシオナルに敗れていた。メッシは「今は自分たちの達成したことが、どれだけすごいか実感できない。でも他のチームが、僕らが成し遂げたのと同じくらいのことをするのは、難しいだろうとは思う」と胸を張った。チームは今年公式戦6冠を達成。メッシ個人も21日発表のFIFA最優秀選手賞を含めて、獲得する個人タイトルは9冠に達する見通しで、合わせて15冠。今年のメッシは、かつてバルセロナに在籍したクライフ、マラドーナら名選手に匹敵するぐらい光り輝いた。

 [2009年12月21日8時41分

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