ブンデスリーガのシュツットガルトに移籍した日本代表FW岡崎慎司(24)が、「移籍紛争」に巻き込まれた。手続きの不備で、ベンチ入り予定だった12日のニュルンベルク戦はスタンド観戦。古巣の清水が移籍を承認せず、移籍の際に必要な国際移籍証明書(ITC)の発行を了承していないため、シュツットガルトの選手登録が滞っている。清水の早川巌会長(67)は13日、2つの理由を挙げて今回の移籍への不快感を表明した。だが、仲裁に入っている国際サッカー連盟(FIFA)が、15日にも岡崎の新天地でのプレーを認めることが濃厚となった。

 アジア杯制覇を遂げ、新天地に意気揚々と乗り込んだ岡崎が、まさかの苦境に陥った。今回の移籍成立に難色を示している清水が、海外移籍の際に必要なITCの発行を承認せず、シュツットガルトでの選手登録が滞ることになってしまった。

 既にシュツットガルトとドイツ協会はITC発行を促すために「仲裁役」のFIFAに意見書を出している。FIFAからは日本協会経由で7日に清水に対して意見を求める文書が届いている。日本協会の窓口となった田嶋幸三副会長(53)は10日夜に清水の早川会長と電話会談し、ITC発行を承認するよう説得したが、同会長のかたくなな姿勢に断念。「岡崎のためにも、このような状況になり残念」と話した。

 FIFAは現在、シュツットガルトと清水の意見を把握し、今回の「移籍紛争」の解決へ動いている。田嶋副会長は「FIFAからは15日に結論を通達するという連絡があった」と説明。現時点では(1)FIFAが岡崎の新天地でのプレーを認める(2)清水の意見を認めて今回の移籍をストップする、という2つのケースが想定されるが、(1)の結論が出されることが濃厚だという。

 本来、ITCは選手を放出するクラブの承認をもとに当該協会が、移籍先のクラブが属する国の協会に対して発行する。だが(1)の結論が下されれば、FIFAは清水の意思にかかわらず、日本協会に対してITCの発行を求めることができる。田嶋副会長も「現時点では清水の了承がないとITCを出せないが、FIFAから15日に通達が来れば、清水が何と言おうが日本協会は一時的に(ITCを)出せる」と説明した。

 日本協会は中立な立場で、一番の目標は選手のプレー機会の確保。15日にFIFAが(1)の結論を出し、一時的なITCが発行されれば、岡崎は17日に欧州リーグ・ベンフィカ戦に出場する可能性も出てくる。だが、プレーと同時進行で両クラブ間の紛争解決が必要で、選手にとっては無駄なストレスがかかるだけに、早期決着が望まれる。

 [2011年2月14日8時27分

 紙面から]ソーシャルブックマーク