<セリエA:ACミラン0-2ユベントス>◇2日◇ミラノ

 【ミラノ(イタリア)3日=波平千種通信員】ACミランの日本代表MF本田圭佑(27)が、現地イタリアのメディアから「不要論」を突きつけられた。2日のユベントス戦で先発から外れ、0-2の後半25分に投入されたがポジションはボランチ。移籍後初めての位置でミスを連発した。日本代表合流のため今日4日に帰国予定だ。代表ではトップ下での起用が確実で、慣れ親しんだ定位置から失地回復への1歩をしるすしかない。

 先発から外れ、20分間プレーした本田が目立ったのは悪い面だけだった。相手にパスし、無理なドリブルからボールを失った。ポジションは、これまでミランで1度も起用されたことのなかったボランチ。常に本田を擁護するセードルフ監督は「ボランチから縦パスを出し相手を苦しめたかったが、うまくいかなかった。本田は世界レベルのプレーをする選手。我々は彼の力を信じている」と言った。だが、この日のプレーにそぐわない言葉だった。

 取材エリアをいつも通り無言で通り過ぎた本田に、地元メディアから「不要論」が出た。3日付コリエレ・デロ・スポルトは両チーム最低点の4・5をつけ「不要だし使えない。試合にまったく入り込まなかった」と断じた。5・5点をつけたガゼッタ・デロ・スポルトも「本田は失望させる。いったいどこがオンダ(波)だというのか。まったく静かな海。油のように滑らかな日本の海のようだ」。HONDAはHを発音しないイタリア語では「オンダ」と呼ばれ、ONDA=波と同じ発音。これに引っかけ、文学的に切って捨てた。

 加入後、トップ下から慣れない2列目右に回った。その位置さえも大事なユベントス戦でポリに奪われ、後半にポリが負傷退場してもその位置で起用されず、ボランチに追いやられた格好。本田抜きで戦った2月の欧州CLのAマドリード戦とこの日の前半は、ともにチームの出来が良かった。このままでは居場所がなくなってしまう。

 戦う場所もチームも違うが、今できることは代表戦で、トップ下で持ち味を存分に発揮すること。ミラン本田の存在感は、消えそうな状況にある。クラブにつながることを信じて、まずは日本代表で本来の力を示すしかない。