<セリエA:ACミラン1-1インテルミラノ>◇23日◇ミラノ

 1世紀以上の歴史を持つ「ミラノダービー」で初めて日本人同士の対決が実現した。ともに日本代表のACミランFW本田圭佑(28)とインテルミラノDF長友佑都(28)がプレー。8万人近くで埋まった大一番で、本田は今季初めて先発から外れて途中出場。得点もなく厳しい定位置争いという現実を突き付けられた。試合は引き分けた。

 チーム得点ランクトップの本田が大一番で先発から外れた。今季6得点の背番号10はリーグ12試合目で初めてベンチで開始の笛を聞いた。端の席に深く腰掛け、出番を待った。インザギ監督から声が掛かったのは1-1の後半28分。インテルDF長友が待つピッチへ。昨季5月4日の対戦は出番がなく試合後に居残りで走ったが、長い歴史を誇るミラノダービー初の日本人対決が実現。しかし初の競演はロスタイム含めわずか22分間だった。試合後はピッチで長友と抱き合った。

 積極的にプレーしたがゴールはなし。これで開幕7戦6発の量産モードから一転、5戦無得点。試合後は足を止めて取材に応じ、正直に言った。

 「本当であればスタメンで出たかったが、監督が今日はサブで行くという結論を下した。それに関しては悔しい。でも過去の4試合くらいで結果を出せなかったのが響いていると思う」

 得点を量産して右FWの定位置を確保したかにみえたがそうではないようだ。インザギ監督は「水曜に日本から帰ってきたばかり。リスクを負わないため、最初からプレーさせなかった」と説明。9月と10月の代表帰りの一戦では、ともにゴールを決めている。中盤の底でパスを散らすオランダ代表MFデヨングが負傷欠場。システム変更もありバランスを取るMFボナベントゥーラが起用された。得点のない本田はベンチに追いやられた。ライバル同士が流血アリで、しのぎを削る伝統の一戦。その大一番で、名門の厳しいレギュラー争いという現実を突き付けられた。ゴールで存在を示し挽回するしかない。

 「結果を出さないとね。前の選手というのは“惜しい”じゃ意味がないから。繰り返しああいった(積極的な)シュート、ドリブルを続けるということ。それしか試合に出続ける方法はないかなと思う。(監督から言われているのは)結果を出せという感じ。監督はいつも『ケイ、ゴールをしろ』と言うんで」

 敵となった長友について「非常に我々にとっては危険な存在だった」と言った。ただ、自身の立場も危うくなっている。このまま控えに甘んじる選手ではない。ここから再スタートする。【24日=波平千種通信員】