<セリエA:ACミラン3-1パルマ>◇1日◇ミラノ
ACミランのFW本田圭佑(28)がカルチョの国イタリアで生き抜く厳しさを、独自のサッカー論と世界観で説いた。パルマ戦(ホーム)にフル出場しチームのリーグ6戦ぶり勝利に貢献した。ただ、本田は持ち場の右サイドから試合途中に左へとポジションチェンジを余儀なくされた。定位置も安泰とはいえず適応、そして生き残りへ、いばらの道が続く。
泥沼状態だったミランがやっと勝った。リーグでの白星は15年初で、本田がアジア杯でチームを離れる前の昨年12月14日ナポリ戦(ホーム)以来、実に6戦ぶりだった。フル出場した背番号10はアジア杯から復帰2試合目。取材エリアで「やっと勝てたが」と質問されると「僕は帰ってきたばかりなので、やっとという感じはしないが、監督はホッとしているのではないかと思う」。1月中に一時は成績不振で去就が騒がしくなっていた指揮官を思いやった。
もっとも自身の立場も安泰とはいえない。これまでの4-3-3の右ウイングではなく、4-4-2の2列目右で先発。左は本田不在の間に加入したチェルチ。ただ、右ウイングが適性ポジションのチェルチが左で存在感を消し、インザギ監督の指示で前半28分に両者が入れ替わった。
するとチェルチが生き返り、後半12分のメネズの勝ち越しゴールをお膳立て。独力突破を繰り返すメネズとチェルチばかりが目立つ今のミランは、本田のように周囲と連係しながら崩すタイプの選手には難しいチーム構成になっている。選手同士の距離感は遠く、個で打開する-。そんなスタイルについて問われると、サッカーからイタリア論へと持論を述べた。
「もともとミランは遠い。代表チームも遠いし。だからイタリアサッカーの文化としては結構遠くて、あまりパスサッカーを好まないでしょ。その上で、将来のビジョンを描くならイタリアはまわりのサッカーをもっと勉強して受け入れていかないと、取り残される可能性があると思う。トレンドだから。ただトレンドを追うのが正しいこととは限らない。それでもトレンドを知った上で自分たちのサッカーを貫くなら貫く、ある程度新しいものを取り入れていくという勇気も、別に恥ずかしいことではない。でもイタリアの文化は、新しいものをあまり取り入れない良さというものもある。まあ、そこが難しいところ」
ミラノに住んで1年。古代ローマ時代からの建造物や芸術と文化に触れている。話はイタリアそのものに及んだ。プレーしその地で暮らしながら世界観を広げ、新たに構築しているからこその発言だった。
ただ、そのイタリアで不動のポジションを確立できているかは別問題。冬の移籍市場で前線のライバルが3人加入した。試合中に右から左へと移動させられた。“次”があるとすれば、それはベンチ。厳しい争いの中、サッカー論のみならず、イタリア論も加味しつつピッチで生き残りをかける。【波平千種通信員】
◆本田のポジションは
前半戦は3トップの右で不動の存在としてゴールを量産した。ただ、冬の移籍期間で、フェルナンドトレスが抜けてデストロが加入。加えて、本田不在の間に右ウイングのチェルチ、前線でマルチな働きのできるスソが加入した。持ち場の右をインザギ監督たっての希望でやって来たチェルチに譲ると、左には現在故障離脱中だがエルシャーラウィ、ボナベントゥーラと、こちらもイタリア代表級の実力者がひしめく。し烈なポジション争いが待っている。

