世界ユース(17歳以下)選手権男子短距離2冠のサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が、憧れのウサイン・ボルト(ジャマイカ)との早期対決を期待した。世界選手権北京大会(8月22日開幕)で浮上した400メートルリレーでアンカー案に「すごい人たちと走れるので楽しいかなと思う」。将来の目標にボルトが持つ100メートル世界記録の9秒58の更新を掲げるだけに、前向きに話した。

 突然、目の前に開けた夢対決に胸を躍らせた。サニブラウンは、北京で400メートルリレーの4走を務めるプランについて「走順はわからないですが」と前置きした上で、言った。「すごい人たちと走れるので、アンカーは楽しいかなと思います。ボルトさんとか。だいたい(100メートルで)9秒台の人が4走に回ってくる。そこで9秒台を体感できれば、と思います」。

 前日29日、日本陸連の苅部短距離部長は、16歳を8月中旬に日本代表リレーチームに初招集する方針を示した。その上で「見立てはアンカーです」と発言。最終決定は代表合宿の状態を見てからになるが、実現の可能性が十分にある。

 サニブラウンは、将来の目標に100メートルの世界新記録を掲げる。17年世界選手権ロンドン大会での引退を示唆するボルトについて「人類最速の人として尊敬しています。まだ勝てないので、まだ走りたくないんですけど、そう言っている間に引退しちゃうんで」と話していた。そんな憧れの存在とわずか1カ月後の初対決が視野。しかも国内にはいない9秒台のスピードを16歳で体感すれば、今後の財産になることは確実だ。

 大会2日目のこの日は、100メートル決勝で2位。1学年上で昨年優勝者の大嶋健太(東京高3年)に0秒01差の10秒30だった。レース直後は「やべー、負けた。あー、マジかー」と両手で頭を抱えたが「自分の走りはできた。3年生の意地に負けた」と潔く負けを認めた。それでも続く400メートルリレー準決勝はアンカーとして5番手でバトンを受け、1人を抜いてぎりぎり決勝進出に貢献。100メートルの無念は明日8月1日、得意の200メートルで晴らす。【益田一弘】