12年ロンドン五輪代表の藤原新(34=ミキハウス)が2時間11分50秒で初優勝を飾った。自己ベスト2時間7分48秒には及ばないが、スランプに苦しんだここ3年では最高タイム。フォーム固めに光明を見いだし、リオデジャネイロ五輪の選考会となる来年2月の東京マラソンへ弾みをつけた。「最強の市民ランナー」川内優輝(28=埼玉県庁)は2位に終わった。

 13年からスランプに泣かされ続けた藤原が、初参戦の防府読売で復活ののろしを上げた。28キロ付近から「フォームが固まり楽にリラックスして走れた。いつでも発車オーライだった」と理想の形になった。川内が33キロ付近の下りで仕掛けても、動じず追走。勝負どころとみた34キロ付近で給水も取らずにスパートをかけ、一気に後続を引き離した。

 2時間11分50秒の優勝タイムには「70点」と満足はしていない。だが「いいフォームで走れ、足がかりになった」と言葉に力を込めた。リオ五輪選考会となる来年2月の東京マラソンに出場予定で、「今より1、2段階調子を上げないといけないが、防府の結果が持つ意味は大きい。練習の質を高めていきたい」と語った。

 ◆藤原新(ふじわら・あらた)1981年(昭56)9月12日、長崎県諫早市生まれ。諫早高-拓大をへてJR東日本に入社。10年3月に退社して、プロ宣言。12年5月にミキハウスと所属契約。自己記録は2時間7分48秒。12年ロンドン五輪代表。167センチ、54キロ。