女子マラソンの野口みずき(シスメックス)が現役引退を決断したことを受けて14日、日本の陸上関係者からは改めて功績をたたえる声が上がった。2004年アテネ五輪で日本陸上チームの監督を務めた沢木啓祐氏は「金メダルが取れると、気持ちの高まりを感じながらゴールで待っていた。監督冥利(みょうり)に尽きると思った」と感激の瞬間を振り返った。

 2連覇が懸かった08年北京五輪は故障で直前に欠場を表明した。最も金メダルに近い存在とみられた選手の離脱に、日本陸連の強化委員長としてチームを率いていた高野進氏は「ショックだったけれどやるだけやってのことだし、後悔することはない。あの失敗が次の人生で金メダルを取るための布石になる」と気遣った。

 近年は故障が続いていたが、日本陸連が発足させたナショナルチームでは練習を引っ張り、若手選手に積極的に助言していた。武冨豊女子長距離マラソン部長は「やってきたことを財産として継承してもらえれば。本当に感謝の気持ちしかない」とねぎらった。