陸上競技のダイヤモンドリーグ第12戦パリ大会が、27日に行われる。リオ五輪の金メダリスト9人がエントリー。メダリスト全員が出場する種目もある。リオ五輪の熱い戦いが、舞台をパリに移して再現される。

 男子砲丸投げはメダリスト3人が顔を揃えた。ベテラン選手が多い種目だが、リオではライアン・クルーザー(米国)が23歳の若さで戴冠。金メダル候補筆頭だった27歳のジョー・コバクス(米国)は銀メダル、クルーザーと同じ92年生まれのトム・ウォルシュ(24=ニュージーランド)が銅メダル。コバクスとウォルシュはパリ大会で雪辱し、クルーザー時代となることを阻止したい。

 女子3000メートル障害は、リオではルス・チェベト(19=バーレーン)が8分59秒75の世界歴代2位で金メダルを獲得した。世界記録は8分58秒81。チェベトが絶好調なら世界新が誕生するかもしれない。

 だが、銀メダルのハイビン・ジェプケモイ(24=ケニア)と銅メダルのエマ・コバーン(25=米国)の2人も、チェベトに約7秒差と好走した。チェベトの調子次第では競り合いになる可能性もある。

 金銀メダリストの対決は、上記2種目を含め5種目で実現した。なかでも注目度が高いのは女子200メートルのエレイン・トンプソン(24=ジャマイカ)とダフネ・シュキッパーズ(24=オランダ)だろう。

 昨年の世界陸上はシュキッパーズが200メートルに優勝し、100メートルでも後半に追い上げて2位。リオ五輪では2冠候補だった。

 ところがトンプソンが2冠を成し遂げ新女王の座に就いた。シュキッパーズは200メートルでは後半に追い上げたが0・10秒届かなかった。「勝つためにリオに来たのに」と、無念の表情を見せていた。

 誕生日は1週間しか違わない2人。女子短距離の新たなライバル関係がどう展開していくか、見守りたい。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各種目は年間7大会で実施され、各大会のポイント(1位10点~6位1点)合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。