<岐阜国体:陸上>◇7日目◇5日◇岐阜長良川競技場

 桐生祥秀(洛南高2年)がマークした10秒21は、ユース世界最高記録の10秒23を上回った。スタートで1回のフライングが許される国内ルールで行ったため、公認されるかどうかは不明だというが、ユースカテゴリー(18歳未満)で世界トップレベルにいるのは間違いない。

 ジュニア(20歳未満)の日本歴代5傑を見ても、桐生以外は全て、大学1年時か高校3年時に出した記録である。◆ジュニア日本歴代5傑1、10秒21

 桐生祥秀(洛南高)

 

 2012年10月2、10秒23

 山縣亮太(慶大)

 

 

 2011年10月2、10秒23

 大瀬戸一馬(小倉東高)2012年4月4、10秒24

 高橋和裕(添上高)

 

 1994年8月5、10秒25

 田村和宏(早大)

 

 

 1997年9月

 ここまでの記録を出すからには何か特別なトレーニングをしている。そう思われがちだが、洛南高の柴田博之先生によれば他の選手とほとんど同じメニューを行なっているという。「これだけの素材の選手を預かった以上は指導者も責任を持たないといけません。16歳には16歳の、成長を考えたトレーニングがある。腰回りの筋肉などはしっかりついていますが、ウエイトトレーニングでつくった筋肉ではありません」

 強いて言えばミニハードルの練習で、桐生の動きは際だっているという。洛南高で徹底して行っているメニューだが、桐生は接地で正確に地面に力を加え、地面からの反発を逃さない。

 その流れのなかで出した10秒21ということを考えると、将来的には9秒台も出せる素材なのではないか。「桐生がどこまで記録を出せるかは、予想できるものではありません」と柴田先生。「ただ、山縣君なり誰かが9秒台を出して日本人でもやれるという道筋を見せてくれたら、それに続く選手が出てくると思うんです」

 桐生が“続く選手”の候補であることは間違いないだろう。