世界66位の大坂なおみ(18)が、焼き肉パワーで金星だ。14年全豪準優勝で同12位のチブルコバ(スロバキア)を6-2、6-1の63分で一蹴。1回戦に引き続き、武器のパワーサーブで7本のエースをたたき込み、チブルコバを圧倒した。12位は、大坂が勝った過去最高位の選手で、今大会レベルでの8強入りは初めて。次戦では、全米準優勝で同6位のプリスコバ(チェコ)-同107位のサスノビッチ(ベラルーシ)との勝者と対戦する。

 パワフルなおみが全開だ。エースを連発、ストロークで粉砕。全豪準優勝者が手も足も出なかった。最後も、どうだとばかりに2本のサービスエースをぶちかまし、圧勝の勝ち名乗り。「プラン通りに、うまくいった」と、強豪相手にも自分のプレーを貫いた。

 第1セット、滑り出しの自分のサービスゲームを失い、0-2とリードされた。しかし、そこからが大坂劇場。怒濤(どとう)の6ゲーム連取で、あっという間に第1セットを奪うと、第2セットも0-1から6ゲーム連取。「いいプレーができた」と涼しい顔だ。

 勝利した相手としては過去最高位だが「相手の世界ランクなんて関係ないわ」と頼もしい。「自分のプレーができたことがうれしい」と、ここでも涼しい顔だが「顔に表れないだけ」とニコリ。あまりの圧勝劇に、試合中に思ったのは「(勝ったら)焼き肉食べたい」。前日も焼き肉を食べ、パワーもりもりだった。

 実は、第2セット5-1で、焼き肉も吹っ飛びそうな肝を冷やした。自分のサーブで、相手の反撃に遭い0-40と3本連続のブレークポイントを握られた。「悪夢を思い出した」。9月の全米3回戦で、世界9位のキーズを相手に最終セット、やはり5-1リード。そこから大逆転で敗れた。

 その悪夢が一瞬、頭をよぎった。しかし、「あの敗戦で精神的に強くなった。今回は準備はできていた」と、しっかりと締めた。大坂を指導する吉川真司代表コーチも「あの敗戦から学んだ」と絶賛だ。焼き肉は食べたが、大好きなすしは「まだ」。次戦の勝利のごほうびは「すしがいい」らしい。【吉松忠弘】