9日午後3時40分ごろ、広島県庄原市東城町帝釈宇山の中国自動車道下り線で、来春からバレーボール男子日本代表の新監督に就任する中垣内祐一氏(49)が運転する乗用車が、道路工事の車線規制で車道にいた警備員の男性(41)をはねた。広島県警高速隊によると、男性は搬送され、腎臓や大動脈を損傷し、頭頂部を切るなどの重傷。中垣内氏も右目の上を切る軽傷を負った。

 高速隊によると、現場は工事規制で時速50キロ制限の、片側2車線の緩い左カーブ。事故当時、追い越し車線が規制されていた。中垣内氏の運転する車は、走行車線から、追い越し車線内に入り、男性をはねたという。車は中垣内氏が1人で運転しており、中央分離帯に衝突して、横転した。工事現場の同僚が通報した。中垣内氏は高速隊の調べに対して、「島根県浜田市に向かう途中だった」と話しており、アルコールや薬物は検出されていないという。

 所属する男子プレミアリーグの堺によると、中垣内氏は同チーム部長として社用車を使って業務のため移動中で、病院で治療を受けたという。代表監督には10月25日に選出されたばかりで、事故前日の8日は東京五輪のバレーボール会場を有明アリーナにするよう東京都庁を訪問し、小池知事宛てに嘆願書を提出していた。

 ◆中垣内祐一 なかがいち・ゆういち。1967年(昭42)11月2日、福井市生まれ。福井・藤島高から筑波大を経て新日鉄(現堺)入り。筑波大在学中の89年に日本代表に初選出され、ウイングスパイカーとして活躍。92年バルセロナ五輪では6位。00年シドニー五輪出場を逃し、代表を引退。04年に堺で現役を引退した。11年4月から13年1月まで男子代表のコーチ。