<陸上:織田記念国際陸上>◇29日◇広島ビッグアーチ

 女子100メートルで福島千里(21=北海道ハイテクAC)が、自身の持つ日本記録を0秒03更新する11秒21で3連覇を達成した。今季初戦でいきなり自身4度目の日本記録を更新。女子初の10秒台を目標に掲げる福島は「今日は7、8割の出来。10秒台へ一歩一歩進んでいきたい」と笑顔で話した。

 独り舞台だった。予選を1位で通過し、迎えた決勝。福島はスタートでライバルの高橋萌木子(平成国際大)に5メートル差をつけるとそのままぐんぐん加速し置き去りにした。電光掲示板にタイムが表示され1万2000人の観衆がドッと沸くと、恥ずかしそうに手を挙げて応えてみせた。「びっくりした。今季、初戦でいいスタートが切れました」とはにかんだ。

 今冬に肉体改造を行いパワーアップした。福島は08年は北京五輪、昨年は世界選手権に出場したが、ともに予選敗退し、その際、世界との体格差を痛感。栄養士をつけ自分で献立を作り毎3食6品を食した。サプリメントも練習前後に取り効率良く強化し、48キロだった体重を50キロまで増加した。「力強さが出た」と実感する。

 北京五輪代表で08年に引退した朝原宣治氏は昨年「男子の9秒台より女子の10秒台が出る方が早いと思う」と話した。女王の進化はまだまだ止まらない。【松末守司】