4年後の平昌五輪へ、新たな戦いの幕が開ける。フィギュアスケートのGP(グランプリ)シリーズは、24日から始まるスケートアメリカ(シカゴ)で全7戦のスタートを切る。ソチ五輪金メダリスト羽生結弦(19=ANA)を中心に回る男子、休養中の浅田真央に代わり村上佳菜子(20)に主役の期待がかかる女子。新時代に入るフィギュア界で、日本勢の「いま」に迫る。

 10月14日、日本男子勢はそれぞれに思いを新たにしたに違いない。10年以上「エース」としてけん引した高橋大輔が引退を発表。国内外での新たな覇権争い、その主役は羽生になる。

 「昨季と同じ自分ではいたくない」と若き金メダリストは歩みを止めない。今季のフリー「オペラ座の怪人」で、自身初となる3つの4回転ジャンプを跳ぶ高難度の構成に挑む。「高橋選手にいつも引っ張っていっていただきました。今の男子フィギュアを作っていただいた」。今度は自分が日本男子の時代を築く。

 追随するのは、昨季の世界選手権で羽生と激闘を繰り広げて銀メダルの町田樹だ。「町田語録」と称される言葉遣いと、独特の世界観の滑りで躍進。今季はベートーベンの「交響曲第9番」をフリーに用意し、「町田ワールド」全開。羽生との再戦へ、「うかうかしてられないと思わせたい」とライバル心を隠さない。

 ソチ五輪出場を逃し、再起にかける小塚崇彦、2季ぶりのGPシリーズ優勝を狙う無良崇人、高橋の後輩になる初参戦の田中刑事にも注目。海外勢はチャンが休養し、フェルナンデス、テンらが強敵となる。

 日本女子は鈴木明子が引退、浅田は休養中。3姉妹のように仲が良かった2人がスケートを離れ、「末妹」の村上が今季のエースになった。「自分のやるべきことをやれば、そういう言葉に合ってくるんじゃないか」。過度に重圧も感じず、姉たちの支えもあるという。「困ったときも相談しているし、一緒の試合に出ることないと考えるとさみしいですけど、心強い」と背中を押される。今季はSPとフリーで「オペラ座の怪人」の男役、女役を演じ分け、新境地を開く。参戦2年目の宮原知子、初参戦の本郷理華、大庭雅らも活躍を誓う。