<大相撲春場所>◇4日目◇17日◇大阪府立体育会館

 元横綱朝青龍関の引退後は、弟弟子が場所を盛り上げる!

 東前頭11枚目の朝赤龍(28=高砂)が徳瀬川(26)を上手投げで下し、4連勝とした。13年前に一緒に来日して高知・明徳義塾高に入学した朝青龍関が不在となって、部屋頭に昇格。元横綱の引退ショックを乗り越え、独り立ちを始めた。横綱白鵬、大関日馬富士、関脇把瑠都(いずれも25)ら6人が全勝で並んでいる。

 朝青龍関をほうふつさせるような取り口だった。朝赤龍は左から攻め続け、最後は左上手でぶん投げた。観客を沸かせて勝つ。この光景は、元横綱のようだったが「別に何もないよ」と謙遜(けんそん)した。初顔合わせの徳瀬川は、同じモンゴル出身。母国の後輩に、勝負で相撲の厳しさを教え、先輩としての風格を漂わせた。

 「相手は、右四つの形があるから、そうならないようにした。どんな勝ち方でも、勝つって気分がいいじゃないですか」。4連勝に、自然と表情も和らいだ。高砂親方は「部屋頭の自覚っていうのが、あるんじゃないか。(横綱が)いなくなって何か言ったことはないけど、本人が考えているのでしょう」と指摘した。

 2月4日。突然、朝青龍関が引退し、予期せず部屋頭になった。報道陣が毎日詰め掛けていた朝のけいこ場は、静かになった。11歳で知り合い、13年前に一緒に来日した先輩は場所前、「頑張れよ。けいこは大丈夫か?」と気にかけてくれた。太刀持ちとして加わった土俵入りもなく、寂しさも感じたが、気持ちを切り替えた。

 元横綱から学んだことは「落ち込まないこと。元気でいること」という。気持ちの切り替えが早かった兄弟子のように、環境が一変しても、クヨクヨしていられない。けいこ場では、若手に対し「声を多くかけるようにしている」と自覚する通り、この日の朝も気付いたことは厳しく言って、雰囲気を盛り上げた。

 朝青龍関のような気性の激しさはなく、やさしい性格として知られる。大きなことも言わないが、ただ「勝ち続けたいですね」とつぶやいた。結果を出すことが最大の恩返しだと分かっている。【佐々木一郎】