元小結舞の海以来、14年ぶりに体重100キロ未満の幕内力士が誕生する。秋場所(9月11日初日、両国国技館)で新入幕が確実な十両隆の山(28=鳴戸)が26日、両国国技館で行われた健康診断で、関取衆唯一の2ケタ体重となる98キロを計測。連日の猛暑も影響してか、前回2月に計測した107キロより半年で9キロ減った。「技のデパート」と呼ばれた舞の海同様、隆の山も巨漢を多彩な技で打ち倒す取り口が持ち味。人気に拍車がかかりそうだ。

 それでも当の本人は「少ないですね。食事はいつもと変わらないのに」と、ショックの様子だ。新入幕が決定的な秋場所に向け、体重増が課題だった。前日25日には「体重は増えていると思う」と、手応えを口にした直後だった。

 98キロは幕内最重量198・7キロの臥牙丸の2分の1以下、現役最重量273キロの三段目大露羅の約3分の1しかない。力士が大型化した75年(昭50)以降、100キロ未満の幕内力士は元横綱千代の富士ら4人しかおらず、隆の山が昇進すれば97年舞の海以来。関取が平均150キロを超える現在では異色だ。だが端正なマスク、筋肉質の体、それでいてチェコから単身来日し、10年かけて関取となった苦労人と人気が出る要素は抜群。新たなスター誕生を予感させる。【高田文太】