<大相撲九州場所>◇7日目◇19日◇福岡国際センター

 横綱白鵬(26=宮城野)が、小結豊ノ島(28)を押し出して7連勝とした。これで大鵬、北の湖、朝青龍に続く、5年連続の年間最多勝が確定した。新大関琴奨菊(27)も全勝をキープ。大関琴欧洲(28)関脇稀勢の里(25)鶴竜(26)と平幕2人が、1敗で追走する展開となった。

 記録は、静かに達成された。豊ノ島を左右の突き押しで料理し、白鵬が無敗を守った。今年の勝ち星を「59」とし、年間最多勝を決めた。あまり注目されなかった記録に、支度部屋では「うれしいですと、言った方がいいのかな」とつぶやいた。どう評価していいか、慎重な口調で話した。

 朝稽古後、記録のことを報道陣から知らされた。最近2年はともに86勝4敗。秋場所に早々と年間最多勝を確定させ、どこまで星が伸びるか注目された。「去年、一昨年は多少騒がれました。今年はいろいろありましたが、全然気づかなかった」。

 5年連続最多勝は、尊敬する大鵬らに肩を並べる大記録に違いない。長期間休場せず、勝ち続けることが求められる。「15日間、同じお客さんが来ているわけでないから、来てくれた方への責任でもある」。ただし、今年は八百長問題で春場所が中止。負け数は去年の倍で、勝ち星も減った。

 横綱の関心は、個人記録よりもむしろ、角界の未来にある。今場所、観客数が伸びない。1人で突っ走るより、力士の底上げに目を向ける。この日、豊ノ島の成長ぶりを問われると「成長どころじゃない。力があって、何年も上位を張っている。3大関も倒しているしね」と立てた。2日前には、他者への物足りなさを聞かれても「みんな一生懸命頑張っている」と上から目線を避けた。

 支度部屋を出ると連日、ファンのサイン攻めにあう。付け人は色紙以外を差し出すファンに遠慮するよう声を掛ける。だが白鵬は、拒否しても良さそうな物にまで「いいよ」と言ってペンを走らせる。土俵の強さは、記録が証明している。白鵬は、土俵外まで目を向けながら戦っている。【佐々木一郎】

 ◆年間最多勝

 白鵬が残り8日間で全敗し、秋場所まで44勝で勝利数2位の大関琴奨菊が今場所を全勝しても59勝にとどまり、白鵬を上回れない。5年連続は年6場所制となった1958年以降では、大鵬、北の湖、朝青龍に並んで最多タイ。最多勝の回数は、北の湖の7回が最多。