大関稀勢の里(27=田子ノ浦)の2度目の綱とりが始まる。大相撲初場所(東京・両国国技館)は今日12日、初日を迎える。11日、国技館で行われた土俵祭りに出席し「いよいよだなと。やってみなければ分からないが、体は準備できている。気が引き締まるし、身も引き締まる」と、たかぶりを隠そうとしなかった。

 その心のままにこの日の朝も、土俵祭りの前に約1時間、稽古場に下りて汗を流した。98年夏場所で誕生した最後の和製横綱の3代目若乃花後、挑まれた23度の綱とりで、序盤の5日間で黒星を喫した大関は誰も横綱に昇進していない。反対に武蔵丸、朝青龍、白鵬、日馬富士の4人は5連勝できたとき、悲願を成就させた。稀勢の里が大関になって以降、初日からの5連勝は12場所でたった2度しかない。大事な序盤。その流れをつくる初日を前に、空白をつくらなかった。

 昨年末に千葉から移転した東京・墨田区の部屋から、土俵祭りの国技館までタクシーで訪れた。「近かったね」と実感した距離。場所に臨む時間やリズムは変わるが「早いことには問題ない」。入場券の売れ行きは好調。その期待と注目はやはり、この男に集まる。「力を全部出せるように頑張りたい」と力を込めた。【今村健人】