2度のビッグイニングに、2番中野の活躍は欠かせなかった。4回は先頭で右翼線へ三塁打。走りだしから力を抜かず、スキがあれば三塁まで行こうという姿勢が、無死三塁の好機をつくった。二塁で止まるか三塁に行くかは大違い。次のマルテは犠牲フライでいいと楽になり、ポテン適時打からつながって4点を奪い、阪神が主導権を握れた。

5回も中野が1死から中前打で出ると、完璧なスタートで二盗を決め、試合を決める4得点の起点になった。これで盗塁は10度企図して10度成功。盗塁は相手投手、捕手の状況にも左右されるが、事前の研究もしっかり行っているのだろう。今季両リーグの2桁盗塁選手を見ても成功率10割は中野だけで、新人ながら抜群の走塁センスを感じる。

3割近い打率を残す打撃も安定感が光る。左も苦にせず左腕加藤から2安打したが、一番の特長はバットを最短距離で出せること。どんな球でもタイミングをしっかり取れ、初球から積極的に振れる。10失策は両リーグ最多だが、ある程度の守備範囲を持っている。本来の2番、糸原の復帰も近そうで、その粘り強い打撃は捨てがたい。だが、中野にもしぶとさが出てきて足がある。糸原の復帰後も1番近本、2番中野の快足コンビが相手の嫌がる打線になるのではないだろうか。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対阪神 5回表阪神1死一塁、一塁走者中野は打者マルテのとき二塁盗塁を決める。野手は渡辺(撮影・加藤哉)
日本ハム対阪神 5回表阪神1死一塁、一塁走者中野は打者マルテのとき二塁盗塁を決める。野手は渡辺(撮影・加藤哉)